常に高い意識をもって試合に臨んでいたヤクルト時代の古田敦也 (c)朝日新聞社
常に高い意識をもって試合に臨んでいたヤクルト時代の古田敦也 (c)朝日新聞社

 レギュラーシーズンも最終盤戦を迎えているプロ野球のペナントレース。セ・リーグでは最下位のヤクルト、5位の中日はAクラス入りも厳しい状況である。クライマックスシリーズができたことで以前ほどいわゆる“消化試合”と言われる試合は減ったものの、この2チームについては来季を見据えた戦いも必要になってくる時期と言えるだろう。また万全のレギュラーではない選手にとっては来季の契約も気になる時期である。

 そこで今回はヤクルト出身の八重樫幸雄さんに、優勝がなくなった時期にいかに戦うべきか、また長く現役を続けられる選手にはどのような特徴があるのかという点を中心に話を聞いた。

――ヤクルトは自力でのCS(クライマックスシリーズ)出場の可能性もなくなり、厳しい戦いが続いています。八重樫さんの現役時代も夏場には優勝争いから脱落したシーズンもあったかと思いますが、そのような消化試合はどうやって気持ちを作られていましたか?

八重樫:タイトルがかかっているような選手はそれに向けて頑張りますよね。でも自分はそういうタイプじゃなくて、ましてやキャッチャーだったからやっぱり最後までチームで勝ちたいというのはありましたよ。負けが増えてくるとどうしても『またか』という雰囲気になりますけど、やっぱりそんな状況でも現場のトップの監督やコーチは言葉や態度に出してはいけないと思いますね。
 あとは経験のある選手も影響力は大きいですから、そういう時こそベテランがチームを引っ張るような態度を出さないといけないと思います。

――八重樫さんが一緒にプレーをされていて、またコーチとしてご覧になって、そういう状況でもチームを引っ張っていた選手というとどなたになりますか?

八重樫:自分が現役の時は若松さんですかね。どんな時でも抜くことがなかったです。あとは同じキャッチャーでは古田かな。個人でタイトルもとってましたけど、キャッチャーやってるとやっぱり勝ちたい気持ちが出てくるんですよ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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