気さくに話し続ける木野さん。道中、ジャニーさんとの思い出も語ってくれた。

「TOKIOの茂(城島茂)と二人で、ジャニーさんに麻布十番の叙々苑に連れて行ってもらったことがあってね。『ユー、ミノ食べる?』って言われて。『ミノってなんですか?』って聞いたら『ガムみたいなやつだよ』って言われて(笑)。そのときに食べたミノはすごくうまかった」

 ジャニーさんとの何気ないやり取りも、木野さんにとっては大切な思い出だ。

「今日は泣いている人は見かけなかったし、お別れの会だからお葬式とは違う雰囲気だった。でも会場でジャニーさんのVTRが流れてね。プライベートの映像なんだけど、ジャニーさんのバースデーパーティーかな?その映像を見た時はやっぱり何か胸にこみあげるものがあったな」

 窓の外を見つめながら、感慨深げに話す木野さん。気がつくとタクシーは原宿の街中を走っていた。ジャニーズの合宿所があるのもこのあたりだ。すると木野さんは思い出したように切り出した。

「ジャニーズの合宿所って今から行く店の近所にあったんだよね。合宿所には(共用の)冷蔵庫があって、寮のおばちゃんが買ってくれたジュースをみんな自由に飲むの。ただ『104』って書いてあるイチゴミルクは絶対に飲んではいけない。『トシ』だから、田原俊彦っていう目印なんだよね。これを飲んだ奴はすごく怒られる。僕が名前を書いても飲まれちゃうから、(田原は)それだけの地位を築いていたっていうことだね」

 思いがけないビッグネームとのエピソードやジャニーさんとの思い出話を聞いていると、明治神宮前駅近くの大通りに面した、菜食者向けの食事を提供するレストランに到着した。木野さんは体調管理なども兼ねて、15年ほど前から菜食生活を続けているという。体脂肪率は5%だというから驚きだ。おかげでこの十数年、病気とは無縁だという。

 食事中も取材に応えてくれた。

「今日は朝6時前に起きて、新幹線で静岡から来た。事務所を辞めても招待していただけるのはありがたいし、久しぶりに会える人たちもいて嬉しかったな。少年隊の東くん(東山紀之)とか、TOKIOの茂(城島茂)とか。辞めて以来だから30年ぶりくらいじゃないかな」

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