■大反響を呼んだ三浦春馬の歌声

 確かに、俳優1本で勝負したほうが生き様としてはかっこいいと思うファンは少なくないようだ。しかし、一方で歌手としてのチャレンジが評価された俳優もいる。

「現在放送中のドラマ『TWO WEEKS』で主演を務める三浦春馬でしょう。主題歌を自らで歌い、CDも発売されましたが、7月に放送された音楽番組ではそのハイトーンボイスが反響を呼びツイッターのトレンド1位に躍り出たほど。SNS上でも『一歩抜きん出てる』『そこらのアーティストより断然上手い』と好評でした。注目の人気イケメン俳優が歌う場合、視聴者が抱く『これじゃない感』を払拭するためにも、より高い歌唱力が必要なのでしょう。黒歴史になる可能性もあり、自信がない人は歌わない方が懸命かもしれません」(同)

 TVウォッチャーの中村裕一氏は、そんな俳優と歌手活動の関係についてこう分析する。

「『もしもピアノが弾けたなら』(1981年)の西田敏行、『カリフォルニア・コネクション』(1979年)の水谷豊など、今は大御所のポジションにあるベテラン俳優もかつてはシングル曲をリリースし、ベストテン番組に出演して歌声を披露していた過去があります。俳優の音楽活動はなにも今に始まったわけではなく、むしろ切っても切れない関係にあると言ったほうがいいかもしれません。もちろん本業の歌手とは違い、歌唱技術的には拙いものがあるかもしれませんが、さすが表現者だけあって、歌手には出せない俳優ならではの味わいがあることも事実です。また、役者にとっても音楽番組などへの出演を通じ、普段の撮影現場とは違う世界を覗くことで、俳優業にとってプラスになることもあると思います。ですから、あまり目くじらを立てずに温かい目で見守るのが良いと思います」

 そんな音楽活動に取り組む人気俳優たち。畑違いの仕事を断らないのは好感が持てるが、本業ではなくとも高いパフォーマンスを求められる時代なのだろう。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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