その後も女性コスプレイヤーを中心に(個人的趣味ではない)写真に収めていると、見覚えのある顔が。
「とっ寅さん!?」
ベージュにチェック柄のジャケットを羽織り、腹にはおなじみの腹巻。アニメの世界のはずが一転、頭の中で映画「男はつらいよ」の挿入歌が流れ出す。寅さんのコスプレってありなんだ……。思わず声をかけると、笑顔で応じてくれた。
「完全に寅さんですね!本物と区別がつきません。全身でいくらくらいかかるんですか?」
「13万円くらいですね。ネットで洋服屋を調べて、柴又や浅草で全部かき集めました」
眉間には役者の渥美清さんを思わせるイボまで再現されている。
「きな粉を糊で固めています。肌との接地部分にはアイプチを使っているから肌にも優しいんですよ」
やわらかい語り口調に癒される記者。もっと話していたいところだが、まだまだ取材を続けなければならない。後ろ髪を引かれながら別れを告げた。
次々とコスプレイヤーたちを写真に収めていると、ひときわクオリティの高いペアがいた。一体なんのキャラクターなのか。
「男が佐々木小次郎で、女が宮本武蔵。FGOというゲームのキャラクターなんです」
FGOとは、スマホ向けのRPGゲームで、この界隈では有名らしい。この日会場で声をかけたコスプレイヤーで、このゲームのキャラクターに扮している人は多かった。
「実は私たちは2015、17年の日本代表なんです」
一体どういうことなのか。このコスプレサミットは世界各国の代表が集まる大会であり、開催国である日本からも、全国4か所で開かれた予選を勝ち抜き、その後東京大会で勝ち上がった1組が日本代表として出場している。2人1組でチームを組み、2分半のパフォーマンスの時間でダンスや歌唱、アクションなどでキャラクターの世界観を表現する。審査員の評価が高かったペアが勝ち進めるというわけだ。この2人、万鯉子(まりこ)さん(42)とマヒオさん(35)は元日本代表だったのだ。