西が残したランナーから招いたピンチを併殺で切り抜けた林優樹(近江)、最終回に同点に追いつかれたものの、2回で6奪三振をマークした飯塚脩人(習志野)も持ち味を十分に発揮した。林は社会人入り、飯塚は進学が予想されているが、ともに次のステージでも即戦力として期待できるだろう。

 高校生の野手で圧倒的な存在感を見せたのが4番に座った石川昂弥(東邦)だ。第1打席はストレート、第2打席はカーブに対して合わせたようなスイングとなり、ともにテキサスヒットだったが、大型でありながら簡単に空振りしないリストワークはさすがである。そして見事だったのが5回の第3打席だ。内間拓馬(亜細亜大)に2球で追い込まれながらその後の決め球をしっかり見極め、6球目の145キロのストレートを左中間フェンス直撃のツーベースにしてみせたのだ。他の高校生野手が木製バットの対応に苦しむ中、石川はしっかりボールを呼び込んで自分のポイントで打つことができていた。貴重な右の強打者タイプで、今年は特に野手の有力候補が少ないだけに、この一打で石川の評価は更に上がったことは間違いない。

 守備で目立ったのが山瀬慎之助(星稜)だ。6回裏に牧のホームランで同点に追いつかれて、なおも無死一塁の場面。大学日本代表はチームでも1,2を争う俊足の田中幹也(亜細亜大)を起用してきたが、その田中の盗塁を見事な送球で阻止して見せたのだ。この時のセカンド送球タイムは1.86秒。外角高めの比較的投げやすいボールとはいえ、これはプロでも上位に入るタイムである。タイムももちろん凄いが、この速さでベースの横に正確に投げられるコントロールも素晴らしい。夏の甲子園でも強肩の捕手は多かったが、山瀬の強肩はその中でもワンランク上のレベルだということを改めて印象付けた。

 一方の大学で最も目立ったのは捕手の海野隆司(東海大)だった。イニング間のセカンド送球では山瀬を上回る1.78秒をマーク。2回にはショートの小川龍成(国学院大)とセンターの丸山和郁(明治大)が後逸して先制点を奪われる結果となったが、セカンドランナーの石川を刺そうとして投げたスローイングはまさに目にもとまらぬ速さで、思わずストップウォッチを押し損ねるほどだった。

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大学で目立った投手は…