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甲子園に応援団が来ない…台風襲来が引き起こした“悲劇”

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久保田龍雄dot.#甲子園
本来は熱気があふれる甲子園のアルプススタンドだが… (c)朝日新聞社

本来は熱気があふれる甲子園のアルプススタンドだが… (c)朝日新聞社

 テレビ観戦していた高校野球ファンが思いきり割りを食うトンデモハプニングが起きたのが、17年の準決勝、広陵vs天理だ。

 この日まで4本塁打の広陵・中村奨成(現広島)は1回1死二塁、碓井涼太の初球をバックスクリーンに運ぶ特大の先制2ラン。85年のPL学園・清原和博の大会記録5本に並んだ。

 そして、3対4で迎えた5回、先頭打者としてこの日3度目の打席に入った中村は、左中間スタンド中段に同点弾の通算6号を放ち、ついに清原の記録を抜いた。

 ところが、NHKのテレビ中継を観戦していた全国のファンは、この歴史的瞬間をリアルタイムで見ることができなかった……。

 なぜか?実は、5回の広陵の攻撃に入る前の午前11時4分から中継が中断され、3分間、ニュースが流れていたからだ。中継が再開されたとき、すでに中村の打席は終わったあと……。さらに皮肉なことに、そのニュースの中で、「広陵・中村選手が大会記録に並ぶ今大会5本目の本塁打を放ちました」と報じていたから、間の悪さ全開だった。

 グラウンド整備が行われる5回終了後までニュースを延期する手もあったはずだし、大会記録更新のかかった中村が先頭打者として打席に入ることがわかっているのに、紋切り型の対応には疑問も残る。

 ネット上でも「野球やってる時に野球のニュースとか呆」「歴史的な瞬間を放送しないとはけしからん受信料返金しろ」「これがNHK。ニュースは読めても、空気は読めない」など怒りの声が相次いだ。

 ネット中継の普及により、「NHK以外」の選択肢も可能になっただけに、高校野球はニュースに邪魔されることなく楽しみたいものだ。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2018」上・下巻(野球文明叢書)。


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