小学校受験は両親と子どもの「3人4脚走」ともいわれる。その道のりは親だって不安がいっぱいだ。心理カウンセラーの中島輝さんは、親子でのチャレンジを楽しく有意義にするカギは、親の「自己肯定感」にあるという。『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2020』(朝日新聞出版)から抜粋して、紹介する。

心理カウンセラー・中島輝さん(撮影/岡田晃奈)
心理カウンセラー・中島輝さん(撮影/岡田晃奈)

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 小学校受験は、わが子の人生における最初の岐路。だからこそ親自身も不安になりがちだ。どの学校を選ぶべきか、落ちたらどうするのか……。心が揺れるほどにイライラし、「子どもに悪影響があるのでは?」とさらに不安になるママ・パパも少なくない。

「それは自己肯定感が下がっている証拠」と言うのは、心理カウンセラーの中島輝さんだ。自己肯定感とは、自分が自分であることに満足でき、自分を価値ある存在だと受け入れられること。

「つまり、人生の軸になるエネルギーです。自己肯定感が高ければ高いほど毎日は楽しくなり、気持ちが安定し、前向きなエネルギーがわきます。受験も家族関係もよい方向に向かうでしょう」

 まずは「自己肯定感チェックシート」(図)を試してみよう。半分以上が「YES」だったら要注意だが、中島さんは「安心してください。自己肯定感は自分で高めることができるものです」と言う。

 自己肯定感の高い・低いは、生まれ育った環境に影響されるイメージがある。中島さんもそれを認めつつも「自己肯定感は簡単に変動する」ことを実感しているという。

「もともと自己肯定感の高い人でも、子どもの受験など重大な局面では揺らぎがちです。逆に、どんなに低い人でも、環境や考え方を変えることで、自分に対して肯定的になることができるのです」

■わが子と自分を同一視する危険性

 自己肯定感を構成する「6つの感」にも着目したい。「6つの感」とは、

(1)「自尊感情」(自分には価値があると思える感覚)
(2)「自己受容感」(ありのままの自分を認める感覚)
(3)「自己効力感」(自分にはできると思える感覚)
(4)「自己信頼感」(自分を信じられる感覚)
(5)「自己決定感」(自分で決定できるという感覚)
(6)「自己有用感」(自分は何かの役に立っているという感覚)

 これら6つの「感」のことをいい、各々が密接につながり、相互に影響を及ぼし合う。なかでも「自尊感情」「自己信頼感」は、自己肯定感の土台として特に重要だ。

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神素子
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