打者の調子を判断する材料になる。もちろん打撃練習で良いスイングができているのを見る。加えて近々の打撃の調子をデータ、数字の部分からでも判断する。最近、調子が上がっている、落ちている、というのを客観的に見ることにもつながる。

 統計は連日、少しずつ蓄積していくものだから、それが形として結果につながるまでには時間がかかる。でも日米を見てきて、やはり素晴らしい打者というのは間違いなくOPSがずば抜けて良い。いろいろあったけど、バリー・ボンズなんて平気で1.000を超えていた。驚異的な打者というのは長打率も出塁率も絶対に高くなる」

 薬物使用などで問題はあるが、ボンズはMLB通算22年で1.051という驚異的なOPSを残している。

 これまで日本の指導者や識者からは、あまり聞かれなかったOPSという指標。日米の野球で異なった捉え方をされているのだろうか。オリックスの両外国人選手はOPSについての考え方をこう話す。

「プレー中にはその瞬間だけを考える。打席では、とにかくしっかりボールをとらえる。その結果が長打になったり、出塁率にもつながる。1つ1つ、目の前のことしか考えていない。守備もそう。答えにならないかもしれないけど……」(モヤ)

「OPSの重要性はわかっている。でも打席で考えるのはとにかく、強くボールを叩くこと。誰もがイチローみたいに狙ってヒットを打てるわけではない。強く叩いた結果がOPSの数値にもつながっている」(ロメロ)

 モヤ、ロメロの2人は、OPSは知っているものの目先に集中することが重要と語っていた。

■平成の時代からOPSを意識していた藤井康雄

 一方、異なる話をしてくれたのが藤井康雄・二軍打撃コーチだ。

「今で言うOPSは現役時代から意識していたし、コーチとしても見てしまう。得点をするのに効率が良いのはやはり長打。しかも走者がいる場面なら確実に得点力は上がる。当たり前のことだけど、それをできる打者は良い打者だ。

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OPSの数字が勝利に直結