OPSの数値が高い巨人・坂本勇人 (c)朝日新聞社
OPSの数値が高い巨人・坂本勇人 (c)朝日新聞社

『OPS=On−base plus slugging』は、野球を数値から見るセイバーメトリクスから生まれた打者の評価指標。長打率と出塁率を足した数字であり、これが高ければ、よりチームの得点に貢献できるとされる。

 数値でいうと0.7000から0.7666が標準値で、0.9000を超えると素晴らしい打者とされる。
例えば、セ・リーグで首位を争う巨人では坂本勇人が8月18日終了時点で0.961、丸佳浩が0.900に近い数値を出している。同じくDeNAの筒香嘉智も0.926、そして広島・鈴木誠也にいたっては1.000を超えている。

「OPSはすごく気にする数字。常にOPS 0.900という数字は気にかけていますね」

 そう語るのはNPBを代表する強打者、オリックスの吉田正尚。フルスイングが代名詞の『マッチョマン』はデータ(=成績)に対し、このように考えている。

「一人の打者としては塁に出る、チャンスで走者を返す、というのは当然、考えている。そのうえで長打率も高いというのは本当の強打者だと思う。相手投手からしても確実性があって長打力があれば攻めにくい。だからOPSに対する意識も当然、高くなる」

 昨年のOPSは0.956。プロ入り3年でのOPSも0.925と印象通りの強打者ということをデータも証明している。

■田口壮コーチが語るOPSと選手起用の相関性

 セ・リーグではDeNAラミレス監督の選手起用が、なにかと物議をかもす。データ重視の采配が目立つという理由からだ。実際に選手起用に影響はあるのだろうか。

 オリックスの打撃面を預かる田口壮・野手総合兼打撃コーチは、日米でのプレー経験がある。データに対する考え方にも柔軟性がある。

「OPSは気にする。確率論の部分で数字に表れている。もちろん、それだけですべて結果が良くなるとは思わない。でも統計上の数字を見ることで勝つ確率が上がるなら、絶対に活用したい。

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本塁打王ボンズの数字は驚異的