「決断したがらない妻」に悩む30歳夫 鴻上尚史が分析した奥さんが判断を避け続ける理由 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「決断したがらない妻」に悩む30歳夫 鴻上尚史が分析した奥さんが判断を避け続ける理由

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

このエントリーをはてなブックマークに追加
dot.#鴻上尚史

 で、大人になると、そういう事情が分かってきますから、簡単には他人の決断を責めなくなります。

 たまに、結果論で文句を言う先輩とか上司がいて、嫌われます。結果だけを見て「どうして、こっちを選ばなかったんだ」と当然のように責める人ですね。

 でも、予測する時点で、どこまでの情報が分かっていたかを考えれば、結果的に間違っていても、ベストなチョイスをしたかどうかが問題だと、普通の大人は分かるのです。

 で、奥さんは、子供の頃から、何かを決断すると、親から、「それは違うと思う」とか「それはすべきじゃなかった」「へえ、そんな結論なんだ」と言われ続けてきたんじゃないでしょうか。どんな決断をしても、100%の正解はないのですから、否定することは簡単なのです。

 その繰り返しによって、奥さんは、「自分で判断する」ということが怖くなったんじゃないでしょうか。

 さらに、悪い結論が出た場合は、「だから止めたんだ」とか「間違った選択をして恥ずかしくないのか」と、さらに責められたんじゃないでしょうか。

 小さい頃から、そうやって否定されてきたので、決断する自信をなくしてしまったんじゃないでしょうか。

 ちなみに、奥さんの親も、同じように育てられたんじゃないかと僕は勝手に予想します。

 奥さんは働いていますか? または働いた経験がありますか? 働いて、それなりの責任ある地位に立つと、「さんざん考えても、結果として間違った判断になることはある」ということが分かってきます。

「だから、その時点で考えられる範囲の判断をするしかなくて、違う結果になっても、誰も責められない」と、腹をくくるようになります。というか、くくるしか方法がなくなります。

 白山羊さん。奥さんと「どうして決断しないのか?」を話してみませんか。そして、僕の予想を伝えてみて下さい。もし、その通りなら、「間違っても誰も責めないんだよ。どんなに考えても、予測が外れることはあるんだから」と優しく言ってみてください。

 もし、僕の予想が外れていても、「どうして決断できないのか?」を一緒に話し合い、考えることは素敵なことだと思います。

【書籍『鴻上尚史のほがらか人生相談』発売のお知らせ】
『鴻上尚史のほがらか人生相談』をご愛読くださり、ありがとうございます。たくさんの皆さまから本連載への反響の声、ご要望をいただき、このたび『鴻上尚史のほがらか人生相談』を書籍化しました。★Amazonで発売中!


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。作・演出を手掛けた舞台「地球防衛隊苦情処理係」を上演予定(東京公演:11月2日~24日、大阪公演:11月29日~12月1日 http://www.thirdstage.com/knet/CBKS/)。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい