TOOTの新作パンツをはき、カメラの前でポーズを決めるモデルの上村勇太さん=2019年8月9日、宮崎県日向市(撮影/佐藤修史)
TOOTの新作パンツをはき、カメラの前でポーズを決めるモデルの上村勇太さん=2019年8月9日、宮崎県日向市(撮影/佐藤修史)
TOOTを率いる枡野恵也社長。大阪生まれ。東大法学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て、2015年にTOOTの2代目社長に就任=2019年8月9日、宮崎県日向市(撮影/佐藤修史)
TOOTを率いる枡野恵也社長。大阪生まれ。東大法学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て、2015年にTOOTの2代目社長に就任=2019年8月9日、宮崎県日向市(撮影/佐藤修史)
多くのミシンが並ぶ縫製工場=2019年8月9日、宮崎県日向市財光寺(撮影/佐藤修史)
多くのミシンが並ぶ縫製工場=2019年8月9日、宮崎県日向市財光寺(撮影/佐藤修史)

 九州の地方都市、宮崎県日向市の熟練職人たちが縫い上げた男性向けパンツが9月、世界4大コレクションの一角であるニューヨークのファッション・ウィークの関連イベントに登場する。製造・販売元のTOOT(トゥート/本社・東京都港区)は「北米市場に本格進出するキックオフ」と位置づけ、新作をPRする動画づくりを進めている。

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 TOOTのパンツは、ド派手なデザインと立体縫製のフロントカップが特徴。高度な技術で上質な生地を重ねずに縫い合わせるため、縫い目は目立たず、履き心地がいい。何度洗濯しても、なかなか傷まない丈夫さもウリという。

 TOOTは2000年の創業以来、人件費の安い海外に発注せず、日向市の自社工場だけで生産を続ける。熟練した20~70代の従業員約50人が、東京本社から届くパターンに沿って縫製している。

 枡野恵也社長(37)は言う。

「当社は『見えないところ』に徹底的にこだわっています。本来、下着は他人に見えないのにデザインに凝る。別々の生地を10種ものミシンを使い分けて縫い上げ、見た目だけでなく、他社にはまねできない履き心地のよさを実現しました」

 リピーターが多く、コレクターもいるという。ネット販売が主体で、海外のユーザーも少なくない。

 毎週新作を出し、年に200種を売り出す。それぞれが小ロットなので、人気商品はすぐに売り切れる。価格は3千~4千円台が中心だが、2万円の高級品もある。

 同社によると、日本の男性下着の市場規模は、この20年で3千億円から2500億円に縮小している。枡野社長は「ユニークなデザインと高い品質を損なわずに成長するには、国内のマス市場でなく、海外のニッチ市場を目指した方がいい」と判断。今春のイタリア・ミラノに続き、ニューヨークのファッションショーへの挑戦を決めた。

 ニューヨークでは、主会場に出展するのではなく、近くのアートスペースで、新作100種をプレゼンする。いま、そこで上映するPR動画を制作している。撮影は8月9~12日に日向市の小倉ケ浜北部で実施。モデルには、今春、ミスターコンテストの世界大会で優勝した上村勇太さん(23)を起用した。

 枡野社長は「ニューヨークの展示の模様をインフルエンサーにSNSで拡散してもらう。動画を社のウェブサイトでも公開し、消費者に直接、魅力を伝えたい」と話している。(朝日新聞宮崎総局・佐藤修史)