「日本と韓国は、安全保障でも経済面でも切っても切れない関係で、そのことは経産省もよくわかっている。だから、韓国の反発を受けて腰砕けになってしまった。北方領土の返還交渉に続き、官邸外交が前面に出て、つまずいたということです」

 輸出品の許可が通常通り認可されたことは、韓国政府も好意的に受け止めている。それでも日韓両国は、表向きは強気の姿勢を崩していない。

 チキンゲームで最も悪い結末は、双方とも衝突を回避しようとせず、正面衝突することだ。両国とも振り上げた拳を降ろそうとしない以上、最悪の結果を避けるためには、リーダーたちが自国の世論を鎮静化させながら、落としどころを探すしかない。そこで試されるのは“政治家の知恵”だ。だが、日韓の首脳に、そのような度量と力量があるかはわからない。

「日韓対立の今後は、勝つか負けるかではなく、どのようにして穏便に対立を終わらせるか。自分たちでは解決できなければ、最後は米国の仲介を頼ることになる。どこかで『米国が解決してくれるだろう』という甘えがある」(田中氏)

 戦後の日韓関係は、対立が激しくなると米国が仲裁に入って関係改善を促してきた。トランプ米大統領は、すでに「日韓はいつも戦っており、仲良くやっていく必要がある」とコメントしている。今回の日韓対立も、結局は米国に“甘える”という情けない結末になるのだろうか。(AERA dot.編集部/西岡千史)