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健康な兵士も襲う「労作性熱中症」 過度なプレッシャーが危険因子に

連載「ちょっとだけ医見手帖(山本佳奈医師)」

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山本佳奈dot.#ヘルス#熱中症#病気#病院
○山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

○山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

※写真はイメージ(GettyImages)

※写真はイメージ(GettyImages)

 熱中症とは、さまざまな要因によって体温が外へ逃げる仕組みが破綻し、体温が調整できなくなることで身体に熱が溜まってしまう状態を言います。

 熱中症を引き起こす要因は大きく3つあります。

 一つ目は、熱中症を引き起こしやすい環境です。高温多湿、風が弱い、日差しや照り返しが強い、閉め切った室内やエアコンが設置されていない部屋、急な猛暑日などです。

 二つ目は、身体の状況です。体温調整機能が低下により暑さを感じにくい高齢者や、発汗機能が未発達で熱を身体から逃しにくい乳幼児、糖尿病や内臓に疾患を抱える方や肥満の方、栄養状態が良くない方や、下痢や嘔吐(おうと)などにより脱水状態の方、そして寝不足や二日酔いなどで体調不良の方です。

 そして三つ目は、熱中症を引き起こしやすい状況です。激しい運動や長時間の屋外作業、水分補給が不十分な状況です。

 これらが要因となることで、体温調整機能が崩れてしまい、体内に熱がこもり、体温がみるみる上昇してしまうのです。高齢者や乳幼児、基礎疾患のある人が暑熱(しょねつ)環境の中で長時間過ごすことで発症する熱中症を、非労作性熱中症・古典的熱中症といい、暑熱環境にスポーツや肉体労働などの要素が合わさって発症する熱中症を、労作性熱中症といいます。一般に、前者は予後がよくないのですが、後者は予後がいいと言われています。

 では、熱中症になるとどんな症状がみられるのでしょうか。

 熱中症の初期症状は、意識や体温は正常ですが、手足のしびれやめまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、筋肉痛、頭がボーッとする、多量の発汗といった症状です。軽度熱中症、I度熱中症とも言います。

 暑さで頭がボーッとするという症状は、皆さんもきっと経験があるのではないでしょうか。これは脳への血液量が減少により生じます。体内にこもった熱を逃がして体温を下げるために皮膚の血管が広がり、さらには発汗により全身を流れる血液の量が減少することで血圧が低下し、脳への血液量が減少するために、頭がボーッとして十分に働かなくなってしまうのです。

 中等度の熱中症は、頭痛、吐き気や嘔吐、下痢、倦怠(けんたい)感や気分の不快、判断力や集中力の低下、失神などいくつかの症状が重なり合って生じます。II度熱中症とも言い、この時、意識は正常ですが、体温は39度まで上昇し皮膚は冷たくなっています。


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