α7R IVはαユーザーとして常日頃感じてきた不満点や要望が多く取り入れられた形でかなり期待と好感が持てる機種と感じた。

 なにより中判クラスのデジタルカメラを使わなければならなかった6000万画素が、α7シリーズの機動力のままで手に入るのはある意味衝撃的なことだ。画素数の問題だけでなくセンサーサイズの違いによる表現力の差異も含めて判断すべきなのは当然のことだが、選択肢が増えることは歓迎すべきことだろう。

 実写はかなわなかったが、ソニーからサンプル画像が提供された。広大な風景写真とポートレートの2点である。確かに風景にもコマーシャルの分野にも訴求する高画素機として実力は十分のようだ。しかし、新製品のポイントとして紹介してきた操作性の改善部分やAF関連のブラッシュアップを見れば、どちらかというとそれらは静的な被写体向けではなく動体撮影性能の向上であり、高画素オールラウンダー機としての進化が強く感じられる。

 シャッターボタンの傾きや、マルチセレクターの形状変更など、使いやすさを考慮した変更も施されている。新製品が使いやすくなるのは当たり前だし、カードスロットが二つともUHS-IIに対応したことや5GHz通信採用、動画撮影機能強化も当然の流れだろう。しかし、口には出さないまでも「高画素機でもスポーツ撮影全般余裕でこなす!」と言いたげなのは明白であり、既存のα7R IIIユーザーの乗り換え需要よりも、他社の一眼ユーザー包囲網に見えてくる。

解説=宇佐見 健

アサヒカメラ2019年8月号より抜粋