今年6月には、摂食障害のシンポジウムに登壇して、

「なんで走りではあれほど我慢できるのに、食べることに関してはできないのかな、だめな人間だな、もっと完璧な人間になりたいなって、ずっと悩み苦しんでいましたね」

 と、告白。また、テレビのニュース番組で後輩の女子アスリートたちに対し「もっと自分の体を大切にしてほしい」と呼びかけた。

 しかし、女子アスリートがみな摂食障害になるわけではないように、摂食障害=窃盗癖ということでもない。犯罪者予備軍のように見られることを嫌がる人は多いし、ここでも声を大にして、同一視しないよう主張しておきたいところだ。

■援助交際やパパ活も

 とはいえ、過食や下剤濫用などの習慣がある人にとって、その費用をどう捻出するかは切実な問題だ。ひと昔前には、援助交際をして稼ぐ人たちもいたし、最近ではパパ活でまかなう人たちが目立つ。パパ活も援交の一種とはいえ、肉体的接触は避ける前提なので、ハードルが低めなのだろう。男性と会って、飲食をともにするだけで、数千円から万単位の報酬が得られるのは効率的だし、自分にはそれだけの価値があるのだという自己承認欲求も満たされる。

 ただ、知らない男性と1対1で会うのだから、ある意味、風俗店などよりもリスクはある。背後に犯罪組織が控えていることもあるので、注意が必要だ。

 もちろん、当事者にとっては「痩せること」が何より優先され、リスクはどうしても軽視されがちだ。そして、こうした思考と行動のパターンはすべてにおいて当てはまる。たとえば、チューブ吐きというものがあり、某巨大掲示板ではこんな説明がされている。

「過食嘔吐と添い遂げる決意があるなら、チューブおすすめする。でも生半可な気持ちでこっちに来ると、死ぬより苦しい地獄があるから気をつけて!」

 すなわち、ホームセンターで買えるようなシリコンチューブなどを胃まで挿入して、食べた物を外に出すという方法である。外径10ミリとか15ミリの管を喉から突っ込むのでいかにも痛そうだが、慣れるとそうでもないらしい。指や腹筋を使って吐く方法に比べると、吐きダコができないとか、顔の腫れが小さいとか、吐き残しがほとんどないというメリットがあり、以前から万能の、あるいは極北の方法とされてきた。

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最大の壁は「体型格差」