■伝令としてベンチ入りしたあのお笑い芸人

 また、試合には出場していないが、高校時代に所属していた野球部が在籍時に甲子園に出場したという芸能人も少なくない。

「お笑いトリオ・ジャングルポケットの斉藤慎二は八千代松陰(千葉)の1年生だった時に、チームが夏の甲子園に出場しました。ちなみに、その時のエースが元日本ハムの多田野数人投手だったそうです。同じくお笑い芸人・とにかく明るい安村は旭川実業(北海道)で夏の甲子園を経験。ベンチにも入り、伝令としてグラウンドに出ています。伝令は時間を置くのが目的で話の内容は特になく、『夜メシなんだろうなあ』など関係ない話をしていたとバラエティー番組で明かしていたこともあります。それぞれ、高校時代は野球漬けだったと思いますが、技術以外にも野球を通して挨拶など社会的礼儀を学ぶことができるので、そんな経験も活躍につながっていると思いますよ」(同)

 TVウォッチャーの中村裕一氏は、高校球児と芸能界の関係についてこう分析する。

「先日放送された『アメトーーク!』に、“スポーツ推薦芸人”として出演したお笑いコンビ・ティモンディの高岸宏行と前田裕太はともに愛媛の強豪・済美の野球部出身。中でもピッチャーだった高岸は独特のキャラで存在感を発揮して笑いを取るだけでなく、ロケで球速139キロもの伸びのあるストレートを披露し、強肩をアピールしました。同じく寒川(香川)の野球部だったココリコの遠藤章造も、高校進学時に7校のスカウトが殺到したエピソードを披露していました。監督・先輩の言うことには絶対服従であり、まさに体育会系の頂点とも言える高校の野球部でとことんまで鍛えられた彼らなら、上下関係に非常に厳しく、実力が問われるシビアな競争社会である芸能界でも十分通用すると思います。また、普通の人なら緊張して何もできなくなるほどたくさんの人から視線が注がれる大舞台でも物おじせずに活躍できるのも大いに納得できます」

 悲喜こもごものドラマが繰り広げられる夏の甲子園大会。今年、甲子園のグラウンドに立つ高校球児の中に、将来芸能界で活躍する人材がいるかも?(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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