「夏を制するものは受験を制す」――。夏休みは、中学受験の勉強をスタートさせたり最後の追い込みに入ったりする家族が多い季節でもある。勉強してもしても成績があがらない、苦手な科目をどうしても克服できない――。中学の受験勉強ではどうしても、そんな「壁」にぶつかりがち。その壁を親子で乗り越える方法を、国・数・理・社、4教科の専門家にずばり聞いた。「中学受験情報局」辻 義夫先生は、「理科は『体験』して理解を深めてほしい」という。

理科・合格への3カ条
理科・合格への3カ条

*  *  *

■実験教室の利用もおすすめ テストは知識を広げる宝庫

 理科はつまずきポイントが明確なので、対策をたてやすく、かけた時間に対して成績の伸びがいいコスパのいい教科です。低学年のうちは好きな子どもが多いのに,高学年になると嫌いになるのは、勉強モードになってしまうから。

 たとえばある大手塾の小学4年生の授業タイトルは「雑木林を探検しよう」「ミツのヒミツ」などですが、5年生になると「水の三態」「種子と発芽」と急に難しくなります。理科嫌いにしないためには、本格的な勉強が始まる前の4年生で、理科の原理原則を、身の回りの事象を通して理解することが理想です。

 具体的には「電気のはたらき」だったら懐中電灯や防犯ベルなど、電池を使って光ったり作動する機器の中身を見て、電流や電気抵抗を理解する。

 頻出問題である光合成は、家庭でアサガオの葉を使い実験してみましょう。アルコールを使うので親の関与は必要ですが、ヨウ素液があれば簡単にできます。茎、つるや花の様子も観察すれば一石二鳥。実験に必要な用具ややり方を、塾の先生に聞いてもいいでしょう。

 理想は低学年ですが5、6年でも遅くありません。プラネタリウムへ行ったり、大学などで行っている実験教室に参加するのも効果的です。

 いちばんいけないのは、テキストを丸暗記すること。知識がないと問題は解けないので暗記は必要ですが、「なぜ」と考えないで覚えただけでは、応用がききません。

著者 開く閉じる
柿崎明子
ライター 柿崎明子

NEXT好奇心旺盛な子どもの成績は…
1 2