「夏を制するものは受験を制す」――。夏休みは、中学受験の勉強をスタートさせたり最後の追い込みに入ったりする家族が多い季節でもある。勉強してもしても成績があがらない、苦手な科目をどうしても克服できない――。中学の受験勉強ではどうしても、そんな「壁」にぶつかりがち。その壁を親子で乗り越える方法を、国・数・理・社、4教科の専門家にずばり聞いた。「中学受験エルカミノ」村上綾一先生は、「算数は『繰り返し』で解法を身につけよう」と教えてくれた。

算数・合格への3カ条
算数・合格への3カ条

*  *  *

■4年生で数学的思考を身につける

 中学受験の算数は、4、5年生と6年生では勉強の仕方が大きく異なります。4年生で植木算を習いますが、中学受験で出題されることはありません。なぜ勉強するのでしょうか。それは比や割合など、5年生以降で学ぶ抽象的な概念を理解するため、数学的思考を身につけておく必要があるからです。

 算数が苦手な子どもの多くは、この抽象的な単元に変わるときにつまずきます。算数を苦手にしないためには、4年生の単元をしっかりと理解することが肝心なのです。

 授業で習ったら、同じ問題を同じ方法で解くことができるようにする。算数はこの繰り返しが重要です。苦手な子どもは、この過程をいい加減に済ましているケースが多いです。低学年では答え合わせをするときに、正答を書き写して丸にしてしまう子どももいます。これでは力がつきません。

 まちがえたらもう一度やってみる。わからなければ解き方を覚え直し、できるまで問題を解いてみます。これを続ければ、必ず一定の所までは点が取れるようになります。

 解法をしっかりと身につけたら、数値を変えて問題を出してみましょう。こうすることで応用力が養われます。

■筆算や途中式は省いて、スピードアップを図る

 算数が得意な子どもなら、4年生から過去問に触れてみましょう。できれば進行形の単元をピックアップしてやってみます。歯が立たなくても、一生懸命粘って考えることが大切。点がとれなくても、本番まで何をすればいいのか道筋が見えてきます。

著者 開く閉じる
柿崎明子
ライター 柿崎明子

NEXT計算は数に対するセンスを磨く
1 2