星稜の奥川恭伸(左)と近江の有馬諒(左) (c)朝日新聞社
星稜の奥川恭伸(左)と近江の有馬諒(左) (c)朝日新聞社

 8月6日に開幕する全国高校野球選手権。今年で101回目を迎えるが、現在の49地区の中でも優勝経験のない地区は意外に多く、その数は20を数える。特に東北は“大旗の白河越え”が悲願として取り上げられるがここ数年は上位に進出することが多く、全国的に見ても勢力図は変わってきていることは間違いない。そこで今回は過去に優勝経験のない地区のうち、今年悲願を達成する可能性があるチームについて探ってみたいと思う。

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 まず改めて優勝経験のない地区と今年の代表校を北から順番に並べてみると下記の通りとなった。

北海道:旭川大高(2年連続9回目)
青森:八戸学院光星(2年連続10回目)
岩手:花巻東(2年連続10回目)
秋田:秋田中央(45年ぶり5回目)
山形:鶴岡東(3年ぶり6回目)
宮城:仙台育英(3年連続28回目)
福島:聖光学院(13年連続16回目)
山梨:山梨学院(4年連続9回目)
新潟:日本文理(2年ぶり10回目)
富山:高岡商(3年連続20回目)
石川:星稜(2年連続20回目)
福井:敦賀気比(2年連続9回目)
滋賀:近江(2年連続14回目)
岡山:岡山学芸館(4年ぶり2回目)
鳥取:米子東(28年ぶり14回目)
島根:石見智翠館(4年ぶり10回目)
長崎:海星(5年ぶり18回目)
本:熊本工(6年ぶり21回目)
宮崎:富島(初出場)
鹿児島:神村学園(2年ぶり5回目)

 この中だけでなく、49の代表校全体で見ても優勝候補に挙がるのが星稜と近江の2校だろう。星稜は昨年春から4季連続での甲子園出場となり、何といっても大会ナンバーワン投手の呼び声高い奥川恭伸の存在が大きい。今年の選抜では強打の履正社(大阪)を相手に被安打3、17奪三振完封と圧巻のピッチングを見せており、その完成度は高校生離れしている。夏の石川大会では度々一発を浴びて苦しいシーンはあったものの、大崩れせずに勝ち上がってきたのはさすがだ。奥川とバッテリーを組む強肩捕手の山瀬慎之助、俊足巧打のリードオフマン東海林航介、小柄ながら強打が光る内山壮真など旧チームから中心として活躍している選手も多い。昨年の夏は敗れた済美戦で奥川の足が攣って降板したところから大逆転を許しただけに、勝ち上がるには奥川以外の投手陣がどこまでバックアップできるかが重要になる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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総合力では近江も引けを取らない