選手の帽子・ユニホームのサイズはすべて暗記 DeNAを支える用具係の日常

プロ野球の裏方たち

井上啓太dot.
 華やかなプロ野球の世界、選手たちがグラウンドで熱い戦いを繰り広げる陰には、それを支える多くの裏方たちがいる。その存在自体は誰もが知っているが、その実態を詳細に知っている人は少ない。そんな裏方たちの日常を紹介する「プロ野球の裏方たち」。今回はチームの影のユーティリティプレイヤー「用具係」を紹介する。

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 炎天下の横浜スタジアム。横浜DeNAベイスターズ「1軍用具担当補佐」の定岡卓摩さん(33)は打撃練習の投手として、選手を相手に黙々と投げ続けていた。打撃投手は専門の担当がいるため、本来は定岡さんの仕事ではない。選手たちの自主練習のために、自ら投手役を買って出ている。

「チームの力になればと、自分にできることは何でもやるようにしています」

 定岡さんは元プロ野球選手だ。高校通算40本塁打の長打力を誇る内野手として、2004年に福岡ソフトバンクホークスに入団した。その後、千葉ロッテマリーンズ、楽天ゴールデンイーグルスと3球団を渡り歩いたが、13年に楽天から戦力外通告を受けた。

 現役続行を決意するも、他球団からの連絡はない。「引退するべきか」と悩み続けた。プロとして続ける自信は、日を追うごとに薄れていった。

「シーズン終了後に12球団合同のトライアウトに参加し、独立リーグも視野に現役続行の道を模索していました。でも、手ごたえはありませんでした」

 トライアウトから1カ月が経った同年末、定岡さんの元にDeNAの職員から一本の電話が入った。球団スタッフとしての誘いだった。

「両親にも相談しましたが、『前向きに考えてもいいのではないか』と背中を押されました。私自身も野球に関われるということで、ありがたい話だと思いました」

 振り返れば選手時代、影で支えてくれる球団スタッフを見て、そのありがたさを痛感していた。心のどこかに「いつか自分も選手を支える側にまわりたい」という思いもあった。なにより、「またプロ野球に関わることができる」という喜びは大きかった。定岡さんは現役を退き、裏方に回る決意を固めた。

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