「日本風に喫茶店という名前にしてみようか。それだけでは意味がわからないから、喫茶店カフェ……」
そんな店名を決めたいきさつを想像してみる。とすれば、微妙に間違っている気がする。
その店のオープンには日本人が絡んでいるのかもしれない、とも考えてみる。日本風のコーヒーショップをコンセプトにした店づくり……。それをアピールするために、あえて喫茶店カフェにした。この場合は間違っていない。
以前のタイには、明らかに間違えた日本語が氾濫していた。「ちゃしラーメン」はチャーシューラーメン、縦書き看板の「シ│フ│ド」はシーフード、「あことめOK」といった表示のようにどう考えても意味がわからないものも多かった。間違った日本語は、ゲストハウスの食堂でだらだらとビールを飲み続ける暇な旅行者に、格好の話題を提供してくれていた。
それを第1フェーズとしたら、喫茶店カフェは、その先をいっていた。間違えたのか、あえてそうしたのか……。その領域に入っていた。タイの日本語看板は、第2フェーズに入ったということか。
首を傾げつつ、ショッピングモールに入った。1階には何軒かのファストフード店があったが、そのなかにMILUKU CAFEがあった。下にカタカナでミルクカフェと書かれていた。
「MilkじゃなくてMILUKU」
これはなにを意味しているのだろうか。
また足が止まってしまう。