優勝を決め、喜ぶ関東一の選手たち (c)朝日新聞社
優勝を決め、喜ぶ関東一の選手たち (c)朝日新聞社

“都立の星”が甲子園への切符を目前にして2年連続で涙をのんだ。

 第101回全国高校野球選手権の東東京大会の決勝が27日、神宮球場で行われ、関東一が小山台を4-0で下し、3年ぶり8度目の甲子園出場を決めた。

 都立勢としては実に72年ぶりという2年連続進出を決めた小山台。実は都内でも有数の進学校として知られている。

 1923年の創立以来、数多くの著名人を輩出してきた。OBには元総理大臣の菅直人氏や、ジャーナリストの筑紫哲也氏、映画監督の山田洋次氏、キヤノンの御手洗冨士夫会長など、そうそうたる面々が名を連ねる。

 小山台はの偏差値は69(「みんなの高校情報」より)。2019年度入試の合格者数では103人(現役77人)の生徒が国公立大学・大学校に合格し、難関国立大学(東京・一橋・東京工業・国公立大学医学部医学科)に計4人が合格した。都内では有数の進学校の一つだ。

 教育関係に詳しいジャーナリストは小山台について、次のように話す。

「小山台の最寄り駅である武蔵小山周辺は、富裕層が集まる高級住宅地です。そのなかで、勉強ができて野球に自信のある子どもたちが、同校に集まる傾向があり、毎年多くの新入部員が集まるようです」

「週刊朝日」の有名大学現役進学者数総覧(6月21日増大号)では、難関大学への進学率が高いことがうかがえる。国公立大学への現役進学者数は72人。そのうち最難関といわれる「旧帝大」(北海道大・東北大・東京大・名古屋大・京都大・大阪大・九州大)の進学者数は9人で、早慶上智、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政の5大学)への進学者数は70人を数える。

 小山台は自校のHPで「小山台高校は、進学指導特別推進校として、国公立大・難関私大への進学を目標としています。国公立大学志望者が大幅に増え,またほぼ3人に2人がMARCHレベル以上の大学に現役で合格しています。近年、MARCHに合格しても国公立や難関私大を目指し、もう一度チャレンジする生徒も増えてきています」としている。

 なぜこのような進学校が、激戦の東東京大会を決勝まで勝ち上がることができたのか。高校野球を取材するスポーツジャーナリストは「徹底的な効率主義による練習の成果」だと話す。

「『日本一練習時間が短い』と福島正信監督が言うように、練習時間は最大でも90分。練習前にグループLINEでその日のメニューを部員に伝えたり、打撃フォームを撮影した連続写真を張るなどした分析専門の野球ノートを使うなど、合理性を追求した練習取り入れています」

 2度の決勝敗退の悔しさを知る1年戦が主力となる来年、リベンジは果たせるか?(AERA dot.編集部/井上啓太)