「ひきこもり小説家」50歳の告白 精神状態を無痛にして生きている日々

萱野葵dot.
 ひきこもりにまつわる事件を耳にするたびに、ザワッとする。

 5月、川崎市登戸で、51歳になるひきこもりの男が、通り魔事件を起こして二人を殺害した直後、自ら命を絶った。

 この事件から時を置かず、東京都練馬区では、元農林水産省事務次官の76歳の父親が、44歳のひきこもりの長男を殺害する事件が起こった。
 
 この二つのケースでは、同居する家族から責められたのが引き金になったのだろうが、仮に独り暮らしでも、生活保護や障害年金などで暮らし、ひきこもる者もいる。働いてみたが挫折し、自信喪失から仕事を辞めてひきこもりになったケースもあるし、未成年の頃から不登校で、それがずっと続いてひきこもりにシフトしていったケースもある。

 そんな私は一応社会には出たタイプのひきこもりというか、ひきこもりモドキだ。小説を書けないスランプがずっと続いたので、専門性のいらない、様々な「作業系」の職場(例えばファミレスやコンビニ、スーパーなど)で働いてみたが、ほとんどの職場で「戦力外」とされ、同僚に迷惑をかけ続けるのにも、白い目で見られるのにも耐えられず、仕事をリタイアしたのだった。それには、自分の発達障害が関わっていた。

 あまりに仕事ができないので、精神的におかしいのではないかと思い、病院に行ったところ、知能テストを受けさせられたのだ。すると、驚くような結果が待っていた。知能指数の検査基準には「言語性知能」と「動作性知能」があり、前者は偏差値や学力の高さなどを司る。後者は臨機応変さや作業の素早さなどを司る。私の場合、前者の数値は比較的高かったが、後者の数値はかなり低く、言語性知能は114、動作性知能は74と、その差は40もあった。特に動作性知能のうちの「処理速度」という項目に関しては、「66」であり、「軽度知的障害級」であった。そのために、気が利かない上、仕事ものろく、働き続けることができなかったのだ。
 
「言語性知能が高いんだから、書く仕事をすればいいんだよ」

 と医師は気安く助言をしてくれたが、そううまくは行かない。いつになってもさっぱり小説が書けない。こうなってみると、スランプと言うより、恐らく才能がもう枯渇してしまったのか、あるいは元々才能がなかったのかも知れなかった。

 そんな発達障害の私の日常生活をざっと書いてみる。

続きを読む

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック