ストラスブール退団から残留へと気持ちが変わっていった川島永嗣 (写真提供:元川悦子)
ストラスブール退団から残留へと気持ちが変わっていった川島永嗣 (写真提供:元川悦子)

 2018年ロシアワールドカップまで日本代表をけん引してきた本田圭佑、岡崎慎司、香川真司ら30代選手の新天地がなかなか決まらない中、36歳のベテラン守護神・川島永嗣の身の振り方も注目されていた。「以前は欧州へのこだわりが非常に強かったですけど、今は全てオープンに考えている」と話していた本人も熟考を重ねた結果、昨季1シーズンで公式戦出場1試合にとどまったストラスブール(フランス)残留を決断。2年契約を結び、新たなチャレンジをスタートさせた。

 その川島が7月下旬の渡欧直前に独占インタビューに答え、フランス残留に至った思いを激白した。

「最初は6月のコパアメリカに行く前に次のクラブを決めようと思っていたんですけど、7月から本腰を入れて探す形になりました。ストラスブールからはシーズン終了前に延長のオファーをもらっていましたけど、違った可能性も模索したかったんです。海外にこだわっていたわけではないし、国内も含めていろいろ考えた。正直、いくつかのJクラブからもオファーをもらいました。そういう中で、今まで海外で挑戦し続けてきた自分にさらなる飛躍の可能性が1%でもあるのなら、それを手放したくないという思いが一気に強まった。そこがストラスブール残留に至った最大の理由ですね」と川島は話を切り出した。

 Jクラブの中には、良い条件でオファーしてくれたクラブもあったようだが、川島は欧州挑戦続行を選択した。「Jに戻ってきた方が出場機会も確約されるし、日本代表定着への近道にもなる」という見方があるのは、もちろん彼自身も分かっていたが、2010年夏から欧州で積み上げてきたキャリアを不完全燃焼のまま終わらせたくなかった。それが偽らざる本音なのだろう。

 実際、ベルギーの中小クラブであるリールセからスタンダール・リエージュへステップアップし、半年の浪人期間を経て、スコットランドのダンディー・ユナイテッド、フランスのメス、ストラスブールという軌跡を描いてきたことは、日本人GKとして画期的な出来事だ。36歳のEU外守護神が欧州5大リーグ1部のクラブから2年契約をもらえるケースは皆無に近い。それだけ川島永嗣の存在価値が認められているのは確かだ。

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川島「序列は覚悟している」