こうした状況になり、芸能事務所やアイドル側も次第に対応を変えていったという。当時を知るベテラン芸能レポーターの城下尊之氏はこう語る。

「トップアイドルたちは、『芸能水泳大会』のような番組への出演に、だんだんと難色を示すようになっていきました。それに代わって登場してきたのがバラドルやグラドルですが。バラドルはともかくグラドルは雑誌などで常に際どい水着で出演していますし、家庭用ビデオも普及し始めて、彼女たちのイメージビデオが量産されるようになっていった。お茶の間でわざわざ家族の目を気にしながら見るのは窮屈ですからね。社会状況に合わせて、視聴率も低迷していったんです」(同)

■末期は米倉涼子もキャンギャルとして出演

 さらに視聴者からのクレームも相次ぐようになったのだという。

「90年代に入ると女性の性を売り物にするような番組に対して批判が巻き起こるようになってきました。それでも2003年頃までは番組が制作されていましたが、ゴールデンタイムでは『ポロリ』はおろか、意味のない水着での番組も自粛されるようになっていきます。90年代末期は苦肉の策で、水着ファッションショーなどの形で、当時キャンギャルとして人気を得ていた米倉涼子なども出演していましたが、視聴率の低下に歯止めはかからなかった。クレームがあっても視聴率が高ければ制作は続けるはずですが、高い制作費や人員を割いても採算が取れなくなったというのが実情でしょう」(民放バラエティ制作スタッフ)

 コンプライアンスなどの関係から制作側での自粛ムードが高まり、徐々にテレビから姿を消していった「芸能人水泳大会」。だが、一方で最近では新たな舞台で復活しつつある。例えばネット配信番組「AbemaTV」では、2017年に極楽とんぼがレギュラー司会を務める「極楽とんぼ KAKERU TV」の特別版でグラドルやセクシー女優の水泳大会を開催。翌年も枠を変えて同様の番組を配信した。

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水着写真が“お宝化”