田村耕太郎さん
田村耕太郎さん
引きずりおろしたくなるのが人間のサガ? ※写真はイメージです
引きずりおろしたくなるのが人間のサガ? ※写真はイメージです

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、シリーズ75万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「ツイッター上のアホ」について。

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【相談】最近、ツイッターを見ていると、とても感情的なアホが多い印象を受けています。

 例えば、ターゲットを見つけると「かかれー!」とばかりに、みなでよってたかってボコボコにして引きずり下ろそうとしているように見えます。意見にも一貫性がなく、世の中の流れによってコロコロと変わっている気がしてなりません。政治や経済といったテーマでも、感情的な物言いが目立ち、建設的な議論が一向になりたちません。

 ゴシップが好き、という感覚は日本独自のものなのでしょうか。そしてなぜ日本では、これほどまでに個人を叩く意識が強く、議論が成り立たないのでしょうか? また、そもそも建設的な議論の力を磨くにはどうしたらいいのでしょうか。

■議論と個人攻撃は違う

 正直申しますと、実は、私自身がSNSで失敗続きのアホでした。過激な発言をしてしまったり、バトルを仕掛けてしまったり、今思えば、本当に愚かだったと反省しています。(『アホとは戦うな』という思想はこうした私の未熟な部分から生まれた考えでもあります)

 現在は少しずつ改善されているようにも思いますが、SNSとの向き合い方についてはまだまだ試行錯誤の日々です。

 SNSで議論が成り立たない背景として、まず日本の匿名文化があると思います。日本ほどSNSや本の書評が匿名で行われる国はありません。顔が知られている空間では非常に礼儀正しい日本人ですが、匿名空間となると、その堅苦しい礼儀正しさの反動からか、無礼になります。

 同調圧力のストレスのはけ口が、匿名空間です。政治やゴシップなどが格好の餌食になるのです。ディベート教育など訓練されていない日本では、口喧嘩と議論の区別がついていない人がほとんどです。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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