可能ならアシスタントコーチやフィジカルコーチも気心の知れた人間を同行させた方がいい。2014年ブラジルワールドカップの日本代表を率いたアルベルト・ザッケローニ監督も、ロシア直前に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ監督にしても、自らの現場チームがあった。その輪の中だけで固まりすぎるのはいいことはないが、腹心スタッフをうまく使いながら、タイ協会や選手とコミュニケーションを円滑に図り、自分のやり方を理解・実践できる環境を作ることができれば、成功の確率は上がってくる。

 つねに若々しく爽やかな外見の西野監督もすでに64歳。年齢を考えると、現場指導者として最後のチャレンジになるかもしれない。そういう意味では悔いのないようなアプローチをして、タイ代表を躍進させるのが理想的なシナリオだ。最終予選で日本と同組になり、直接対決する日が訪れるのを、本人も日本代表選手たちも心待ちにしているはずだ。(文・元川悦子)