“バルサ化”のけん引役として神戸に加入したビジャ (c)朝日新聞社
“バルサ化”のけん引役として神戸に加入したビジャ (c)朝日新聞社

 早いもので、2019シーズンのJリーグも折り返し地点を通過した。前半戦では戦前の下馬評をいい意味で裏切ったチーム、逆に期待外れとなっているチーム、おおむね想定通りに勝ち星を重ねてきたチームもある。そこで今回は、Jリーグをつぶさに「うぉっち」している河治良幸氏がJ1全クラブを中間査定(良い方からA・B・C・D・Eの五段階)し、3日間にわけて紹介する。

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セレッソ大阪 B

 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の1シーズン目、しかも山口蛍や杉本健勇など複数の主力選手が移籍したことを考えれば、前半戦が終わった時点でACL出場が狙える順位、勝ち点差に付けていることは高評価できる。前体制からは基本戦術が大きく変わったが、清武弘嗣ら従来の主力に奥埜博亮のような戦術理解に優れた新戦力、生え抜きの若手である瀬古歩夢などから攻守のバランスが取れたチームを構成した。ベースを築きながら、対戦相手に応じて立ち位置を変化させるなど、チーム作りと結果が噛み合っている。エースとして期待された都倉賢の長期離脱は痛かったが、第10節で初ゴールをあげたブルーノ・メンデスがフィットしてきたことも中盤戦の推進力になっている。若い選手が多いチームの割に90分間のゲームコントロールも見事で、逆転負けは第4節の浦和戦のみ。チーム自体は完成途上にあり、ここからさらに成長も見込める。移籍が囁かれた柿谷曜一朗も残留を決断し、後半戦での奮起が期待される。

ガンバ大阪 D

 ボールを握り、前から行く戦い方が噛み合った時には上位のチームに遜色ないパフォーマンスを発揮するが、崩れると途端に組織が不安定になり、攻守ともに大味なサッカーに変貌する。試合の蓋を開けて見ないとどちらに転ぶか分からないチームに対戦相手も戸惑っているかもしれないが、悪い目が出る試合の方が多く、第19節を終えた時点で降格圏から勝ち点6差という位置どりにも表れている。ただ、その中でもU-23を主戦場としていた若手が、U-23監督を兼任する森下仁志コーチのもとで台頭し、新たな主力となりつつあることはポジティブなトピックスだ。うまく波に乗れれば残留争いどころか上位進出も十分に可能だが、夏の放出選手が多く、後半戦に向けて不安の声も強まっている。宇佐美貴史は帰ってきたが、新たな補強があるのか気になるところだ。

ヴィッセル神戸 E

 ダビド・ビジャ、山口蛍、西大伍など国内外のビッグネームを次々と獲得して注目されたが、序盤戦に大量失点の試合が続くと、中位につけていたにもかかわらずフアン・マヌエル・リージョが契約解除で退任した。その後、吉田孝行前監督が引き継いだが敗戦が続き、第16節からドイツ人のトルステン・フィンク監督が率いているが、ボールポゼッションを重視するコンセプトは継承しながら、対戦相手を分析して対策を立てるプランニングを組み込み、機を見たカウンターも繰り出すなど、柔軟な戦い方にシフトしている。空中戦に強いウェリントンと“バルサ化”を推し進めるキーマンとも目されたビジャが前線に並び立つ布陣は象徴的だ。人事のバタバタもあり、投資に結果が見合っているとは言い難いが、後半戦で前半戦より勝ち点を伸ばしていけるポテンシャルは十分ある。

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大健闘の昇格組