このほか、第三セクター路線の一部でも「青春18きっぷ」を生かすことができ、それぞれルールが設けられている。「青春18きっぷ」で乗車可能なのは以下の4路線だ。

●道南いさりび鉄道:「青春18きっぷ北海道新幹線オプション券」との併用を条件に木古内~五稜郭間の乗車が可能。乗降駅は木古内と五稜郭のみ。

●青い森鉄道:八戸~青森間で利用可能。ただし乗降駅は八戸と野辺地、青森のみ。

●あいの風とやま鉄道:普通列車(快速を含む)限定で高岡~富山間に有効。乗降駅は高岡と富山のみ。

●IRいしかわ鉄道:普通列車(快速を含む)限定で金沢~津幡間に有効。乗降駅は金沢と津幡のみ。

 また、関連きっぷで乗車可能な私鉄には、「肥薩おれんじ鉄道」(当日有効の「青春18きっぷ」の提示を条件に全区間が乗り放題となる、2060円の「おれんじ18フリーきっぷ」を発売)がある。

 一方で、やや注意が必要なのがJRと他社の間を直通する列車である。たとえば、花輪線列車が盛岡~好摩間でIGRいわて銀河鉄道を通るケースや、鈴鹿~津間で伊勢鉄道を経由する快速「みえ」などが該当する。いずれもJR区間は「青春18きっぷ」で乗車できるが、JR線ではない該当区間の運賃が別途に必要となる。

 ただし、こうしたケースを含め、ほかの乗車券類や他社線などを行程に組み合わせてもいい。普通列車の本数が極端に少ない難関区間の通過や、先々の乗り継ぎダイヤを勘案して、一部区間だけ運賃+特急券を別途購入して特急や新幹線でリレーする作戦だってある。

 などなど、ちょっと複雑な例外ルールを含め「青春18きっぷ」のキホンをおさらいしてみたが、キホン中のキホンは「JRの普通列車が自由に乗り放題」となることに尽きる。このキホンや特例を生かして究極の長距離旅にチャレンジしてみてもいいし、日帰りなどのちょっとしたお出かけや、仕事の外回りなどに活用することも考えられる。

 いずれにしても、1枚で1万1850円以上または1回あたり普通運賃で2370円以上の区間を乗ればモトがとれるのである。キホンをきちんと押さえつつ、柔軟に楽しみたい切符といえよう。(文/植村 誠)

○植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話 韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。