楽天・オコエ瑠偉 (c)朝日新聞社
楽天・オコエ瑠偉 (c)朝日新聞社

 東北楽天ゴールデンイーグルスは必死で戦い続けている。オールスター前には大きな連敗を喫したが、則本昂大、岸孝之という2枚看板右腕を欠いても上位争いに食い込んでいる。若手選手が次々に現れるなど明るい話題も多い中、奮起が望まれる2人の選手がいる。

 ともに1位指名でプロ入りした、福井優也とオコエ瑠偉。アマチュア時代は両者とも抜群の存在感だったが、ここまでは周囲を満足させるには至っていない。しかし優勝を狙う2019年後半戦、間違いなく投打のキーマンになるはずだ。

■最低限の5回で満足せず長い回を投げ結果を残す(福井)

「出だしに3つ勝てたのは大きかった。チームにとって大きい勝ち星。もともと能力は高いわけだし、絶対に使える投手だと思っていた。そうじゃなきゃ獲得しない」

 石井一久GMは福井に熱視線を投げかけている。

 斎藤佑樹、大石達也とともに早稲田黄金期を作り上げ、11年ドラフト1位で広島入団し、いきなり8勝をマーク。15年には9勝を挙げるなど、エース候補として期待された。しかしその後は結果に恵まれず、一軍登板機会も激減。菊池保則との交換トレードで仙台にやってきた。

「ここ数年は失点すると、もうチャンスはもらえないかも、とすぐナーバスになった。どんどん力んでしまって、制球を乱す悪循環だった」

 毎年のように期待を裏切るシーズンが続いた。「今後どうしたいか?」とフロントに尋ねられた。広島への思いは強かったが「環境を変えるのも1つの方法かもしれない」と答えた。

「自分から言うことではないとわかっている。甘いと言われても仕方ないけど、自分の先が見えない状態だった。結果的に僕の気持ちを重視してくれた。広島と、獲ってくれた楽天には本当に感謝しかない」

 楽天入団後は周囲も気を使ってくれた。当初は緊張もあったというが、すぐに慣れることができ、居心地の良さも感じるようになった。

「初登板は本当に緊張した。初回なんて狙ったところにまったく行かない。野球を始めてからこんなことはなかったんじゃないかな」

 4月3日、日本ハム戦。勝敗こそつかなかったものの5回4安打無失点で抑える。勝敗こそつかなかったが、移籍後初登板について福井が振り返ってくれた。

次のページ
オープン戦は調子のよかったオコエだが…