そもそも月経とは、生理ともいい、約1カ月の周期で子宮の内膜がはがれ落ち、体の外へ排出されることを言います。月経の初日から次の月経の始まる前日までの期間が月経周期であり、月経周期は25日から38日程度が正常と言われています。

 卵子の元となるのが原始卵胞です。卵巣の中にある原始卵胞は、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモンの刺激をうけることで成熟卵胞に発育し、成熟卵胞からは卵胞ホルモンが分泌され、子宮内膜が増殖します。

 卵胞ホルモンが増えてくると、脳下垂体から卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが急激に分泌されます。急激な分泌により、成熟卵胞から卵子が排出されるのです。

 排卵した後の卵胞は黄体とよばれ、主に黄体ホルモンを分泌することによって、子宮内膜は妊娠可能な状態になります。しかし、妊娠が成立しなかった場合、つまり受精卵が着床しなければ、黄体の機能はしだいに衰え、女性ホルモンの量は減少します。それによって、子宮内膜ははがれ落ち、血液とともに子宮口から排出されるのです。これが月経の仕組みです。

 簡単に言えば、受精卵が着床できるよう、子宮内膜のベッドをフカフカにして準備しては、待っていた受精卵がやってこないと必要なくなった子宮内膜のベッドを剥がして身体の外に出す、の繰り返しが月経なのです。

 この月経ですが、近年、月経の開始、つまり初潮の時期が早まっていることがわかっています。これを「成熟前傾現象」といい、大阪大学が行った全国初潮調査があります。この調査によると1889年での平均初潮年齢がおよそ14.7歳であったのに対し、2008年ではおよそ12.2歳になっていました。また、2008年時点で、小学校6年生の12月末頃には半数の女子児童が初潮を迎え、3~4年生でも初潮を迎える子がいることが当たり前になってきているのです。

 日本は初潮が最も低年齢化している国のひとつです。先進国では身体的な発達の促進(これを「成長加速現象」と言います)や成熟前傾現象は停止傾向にあるのに対して、日本では、1980年代から17歳の平均身長がほとんど伸びていない一方で、初潮年齢は低下を続けているのです。

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女性の生活の質の向上につながる月経への理解