プロ野球界でチャンステーマが広まったのは2000年頃。諸説はあるが、千葉ロッテマリーンズが火付け役といわれている。全国星覇会も2002年頃にチャンステーマを導入したという。

「ベイスターズのチャンステーマは、完全なオリジナル曲もありますし、原曲があってそれに歌詞をつけているパターンもあります。原曲は、パチスロの音楽や有名ゲームの音楽などです。歌詞のこだわりは『覚えやすくて、歌いやすくて、疲れない』こと。だから歌詞は単語が多いんです。『オイ!』『ファイト!』『横浜!』とか。チャンステーマは、応援している私たちも気持ちが入ります。基本的には試合の中盤以降などで使いますが、相手ピッチャーがエースで、今日はあまり点が入らないかもれないと思ったら初回で歌うケースもあります。応援の熱で、相手ピッチャーの調子を崩したいって思いがありますから」(倉橋さん)

 チャンステーマと同じように、歌詞へのこだわりが強いのが選手応援歌だ。もちろん選手全員に用意されているわけではない。DeNAでは17名の選手の応援歌が確認できる。

「選手応援歌では、選手のイメージを大切にしています。足が速いとか、長打を打つとか、チャンスに強いとか、過去の経歴とか、出身地とか。理想は、『選手の名前が入ってなくても、その選手の応援歌だとすぐ分かる』ことですね。例えば、沖縄出身の神里和毅選手の応援歌は『琉球の波に乗って 潮風を背に受け 冴えわたる神業 オー島人の星』という歌詞にしました。メロディは比較的すぐにできますが、歌詞はすごく大変です。他球団とかぶらないようにするのに毎回苦労します。過去のもの合わせるとんでもない数の応援歌ありますから」(倉橋さん)

 ちなみに選手応援歌がある選手とない選手がいるが、それに関しては特に定義しているものはないという。応援歌のない選手には、汎用テーマと呼ばれる応援歌を使う。簡単にいえば、名前だけ変えれば、どの選手でも使える応援歌だ。2軍の選手が1軍に上がってきたり、急なトレードで他球団の選手が入ってきたりするケースで主に使われる。チーム事情によっては、打順の流れで汎用テーマが続いてしまうこともあるようだが、全国星覇会ではそれはあまり良くないと感じているという。

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応援団を続けられる理由