とにかく眠くて眠くて辛かったなあ、あの頃。

 20代の新聞記者、家政婦、女社長。

 この三つを日替わりで行ったり来たりしている。

 こどもが産まれてから、現場でも子供の話をよくする。

 共演者の小池徹平くんは、秋にはパパだ。

 私の出産の時の話や、ベビーグッズの話、具体的にはベビーベッドを買うべきかレンタルにするべきか、などや、ベビーバスのこと。なんでも今はシンクで使える使い捨てタイプのものがあるらしい(!)など、とにかく話していてトピックが尽きない。

 意外と知られていない産後の事。

 例えば産後の女性は子宮と骨盤が元に戻るまで1カ月はかかるし、出血もずっとある。出産時に裂けた会陰部の傷が治るまでトイレはけっこう辛いし、ミルクあげてオムツ替えるだけで必死だよ、なんていう話や、産後ケアセンターの話などにとても真剣に耳を傾ける様子を見ていて、優しいパパになるんだろうなー、と思った。

 そして、私が出産を控えていた頃、夫もこんな風にたくさんの期待と不安を抱えながら、たくさんの身近な経験者に話を聞いて回っていたのだろうな、と思った。

 プレママに対する指南、情報はたくさんあるけれど、プレパパに対するものは少ないのかもしれないな。

 側で見守るしかないパパの辛さってのもなかなか大変なものだ。

 かたや、4人のパパであるけんちゃんの悩みはもう上のステージに達している。

 成長期のやんちゃな男の子3人とイヤイヤ期終盤の女の子一人。

 一手に面倒見る奥様のストレスを何とか減らそうと頑張るけんちゃん。

 私の姪っ子たちを見ていても思うのだが、小学校に上がると「いかに宿題をやらせるか」は親たちの大きな毎日の悩みの種になるようだ。

 私の弟も、ご褒美で釣ったり怒ったりなだめてすかしてあらゆる手段で宿題をやらせようと奮闘している。

 子供の年齢が上がるにつれ、心配事も変化し、親の役割も変わる。

 この先いろんなことが待ち構えているのだ。

 元気に長生きしなければ。それも勤めだよなあ。

 チビがここまで大病もせずに元気に育ってくれているのは本当に本当にありがたいこと。当たり前のことではない。

 夫にも長生きしてもらわなくちゃ。

 七夕のお飾り用に、保育園でもらった短冊。明日提出なのだけど、

「パパの『ぢ』がよくなりますように」

と書き込むよ。

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水野美紀

水野美紀

水野美紀(みずの・みき)1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。最近では、舞台やエッセイの執筆を手掛けるなど、活動の幅を広げている。2016年に結婚、2017年に第一子の出産を発表した

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