これって高校の校則みたいなものなんです。高校生はタバコを吸ってはいけませんよっていう国の法律じゃなくて、パーマをかけちゃいけませんよっていう学校によって違うルールみたいなもの。世間一般には「高校生なら大概パーマ禁止でしょ」っていう認識だとしても、認められている学校もあるわけです。しかも吉本さんみたいに、あまりにも生徒数が多くて教員の数が足りない学校では、問題を起こさず仕事さえしてくれればあとは自由でいいよっていう校風だったりする。

 僕は他校の生徒だから、他の学校の校則について批判する立場にもないんですが、直営業がまったくダメなことかというとそうでもないってことをもう少し説明します。

 うちの事務所で例えるなら今回の件は、小島よしお、スギちゃん、カズレーザーぐらいのクラスの芸人が先輩に頼まれて行っちゃったっていうことになりますが、彼らは直営業には行きません。話が来たら断るか、会社に「仕切ってください」って振ります。そういう契約だからってこともあるんだけど、その理由は、もらえるギャラが高いから。

 本来、芸能人にとって営業って稼ぐ場なんです。歌い手さんが紅白を目指すのは、“紅白歌手”になれば土日は地方で営業ができて、それで一生食えると言われているからです。昔からある正しい芸能人の稼ぎ方って、平日はテレビで顔を売っておいて、土日に地方で稼ぐという方法。つまりテレビは宣伝で、本当の収入源は営業。だからギャラも営業の方がずっと高いんです。いまではバラエティー番組が増えたりして、僕みたいにテレビだけで活動する人間が出てきたり、営業が上手すぎてそれだけで生活が成り立っている人もいますが、基本的には芸能界とはそういうシステムなんですよね。

 うちの事務所の場合は営業ギャラがそこそこ高いから、みんな土日は頑張って営業に行ったりしていますけど、今回の件があって、そんなにもらえてなかったのかなっていう疑問がありますよね。だからって、おかしいでしょ!って僕が言うことはできないんです。それは“他校の生徒”だからっていうだけじゃなく、そこにメリットもあるからです。

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10万円の営業が会社を通すと1人2万円に…