■出川哲朗や霜降り明星はセーフ

 こうした中、今後オファーが増加しそうな芸人は誰なのか。

「筆頭はサンドウィッチマンでしょうね。育児雑誌で『どこからが浮気?』という質問に『どれもダメ』『楽しんでいる時、奥さんは家事や子育てに大忙しってこと分かってるんですか?』と斬り捨てたりと、女性スキャンダルなんてどこ吹く風。東日本大震災で被災した東北の方のために地元メディアに積極的に出演し、今でも地道に支援を行っているところもポイントが高い。さらに、アンガールズの田中卓志。バラエティ番組の『実際に仕事をしてみたら良い人だった』というランキングでダントツの1位になりました。紳士的な性格で、グレーなことに手を出すことは考えづらいでしょう。清廉潔白な芸人は魅力がないという論調もありますが、そんな考え方はもはや時代遅れです。ちなみに、生活保護不正受給騒動を起こした次長課長・河本準一は、7~8年前から毎月ボランティアで老人ホームや児童養護施設を訪れているとWEBマガジンで明かしていました。それで引っ張りだこになるというわけではありませんが、今回処分を受けた芸人たちも復帰の一環としてボランティア活動から始めるのもよいかもしれません」(放送作家)

 確かに、サンドウィッチマンの2人のように品行方正でも面白い人は面白い。これからは笑いの才能に加え、視聴者を不快にさせない潔白さが求められるのだろう。一方、お笑い評論家のラリー遠田氏も、起用する側はもちろん視聴者も品行方正な芸人を求めるようになると予測する。

「闇営業に縁のなさそうな芸人が視聴者から好かれるようになるでしょう。具体的にはクリーンな芸人です。優しそうで、コンビ仲が良さそうな芸人。さらにお笑いに対して真面目な芸人や女性芸人などです。例えば人柄の良さという点でいうと内村光良や出川哲朗、みやぞんあたり。チャラそうだけど実は介護やベビーシッターの経験もあって真面目という点ではEXIT。お笑いに対して熱くストイックな霜降り明星や和牛も当てはまります。内向的で派手に遊んでなさそうということでいうとオードリーの若林やピース又吉も浮かんできます」

 破天荒な芸人が違法行為や反社会的な行いを犯しても業界を追放されなかった時代は完全に過去のものになった。お笑い芸人にもコンプライアンスが当たり前に求められる時代になった今、「面白い」だけでは世間からの共感は得られない。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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