9月から始まるラグビーワールドカップへの思いを、今年4月、二人に取材した。ワールドカップが約2カ月半後に迫る今、取材メモを振り返ると何ともやりきれない思いになる。

「これからワールドカップ関連の催しがあった時に、前座の前座の試合でも僕らがやれたらなと。どうせやるなら動けた方がお客さんにも楽しんでもらえるだろうし、そんな思いから、ジムに行ってトレーニングを始めるようになったんです」(内間)

「ラグビーが注目されるためなら、やれることは何でもやります。というのも、もし、ラグビーをやってなかったら、オレ、ヤバい人間だったと思うんです。やったからこそ、人の痛みも分かるし、友だちもできた。ラグビーを一人の人間だとしたら『この人って、すごくいい人なんですよ!』と大きな声でアナウンスする。それが芸人の自分ができる、ラグビーへの恩返しだと思っているんです」(真栄田)

 一方「2700」にロングインタビューをしたのが昨年8月。テレビ番組の企画で変更したコンビ名「ザ ツネハッチャン」を元の「2700」に再改名することになったタイミングで、思いを聞いた。

 今回、問題となった営業があったのが2016年8月。こちらも取材メモを振り返ると、その時期の苦悩が色濃く記されていた。

「2011年に『キングオブコント』で準優勝してからは1年くらい休みなく仕事が入りましたが、12年ごろからはペースが落ちてきた。落ちつつも、何とか仕事があったのが15年あたりまで。そこからは本当に仕事がなくて、嫁から『コンビニで炭酸飲料を買ってきて』と言われているのに、ボーッとしてしまって缶コーヒーを買って帰る。帰宅して『アッ』となるんですけど、またコンビニで缶コーヒーを買って帰ってるんです。そんな精神状態が続きました」(八十島)

「一番つらかったのは、14年頃から仕事が減ってきて、またアルバイトを始めた時でしたね。芸人の大きな嬉しさの一つに“バイトを辞められた瞬間”というのがあるんですけど、仕事がなくなり、また始めることになった。芸人の仕事が週に1回あるかないかの状態で、家族もいてる中、さすがに生活できない。居酒屋のホールスタッフとかのバイトを掛け持ちしていたんですけど、変に顔と名前を知られているから、顔バレもするし声もかけられる。これは幾重にもつらかったです」(ツネ)

 好きで入った芸人の世界。何の保証もないことを承知で入った世界。そして、事務所に所属している以上、やってはいけないことをやった末の、許されざる結果。それが正しい論評。アタマでは十二分に理解しているが、言いようのない胸の締め付けが日に日に強くなるのも、また事実として感じている。

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中西正男

中西正男

芸能記者。1974年、大阪府生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当として、故桂米朝さんのインタビューなどお笑いを中心に取材にあたる。取材を通じて若手からベテランまで広く芸人との付き合いがある。2012年に同社を退社し、井上公造氏の事務所「KOZOクリエイターズ」に所属。「上沼・高田のクギズケ!」「す・またん!」(読売テレビ)、「キャッチ!」(中京テレビ)、「旬感LIVE とれたてっ!」(関西テレビ)、「松井愛のすこ~し愛して♡」(MBSラジオ)、「ウラのウラまで浦川です」(ABCラジオ)などに出演中。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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