■症状 突然の激しい頭痛や意識障害 そのまま死亡することも

 くも膜下出血を発症すると、突然経験したことのないような激しい頭痛に見舞われます。

「痛みを感じる知覚神経は、くも膜や血管の周辺にあります。高い圧力で噴出した血液による膜の伸展や血液中の化学物質が知覚神経を刺激するので、強い痛みを感じるのです」(兵頭医師)

 頭痛以外にも気分が悪くなって嘔吐(おうと)したり、視野が欠けたり、ものが二重に見えることがあります。意識を失うことも多く、患者の5人に1人は発症後まもなく亡くなります。

 破裂した脳動脈瘤の穴が小さければ出血後できた血の塊によってすぐに血は止まり、意識を回復することもありますが、強い頭痛や嘔吐は残ります。高齢者は痛みに鈍感になっている場合があり、この症状を風邪と思って見逃すことがあります。

「一度出血してできた血の塊が溶けると再び出血します。再出血を起こすと、くも膜下出血は重症化し、死に至ることもあり、命が助かっても重い後遺症を残すことが多いので、再出血を防がなくてはなりません。普段とは違う頭痛を感じたら、必ず救急車を呼んで病院にいきましょう」(同)

■予防 高血圧の治療と禁煙が必須 家族に患者がいる人も要注意

動脈を流れる血液の圧力によって脳動脈瘤ができることからもわかるように、最大のリスク要因は高血圧です。

 健康診断で高血圧といわれた人、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上ある人は、医師に相談しましょう。高血圧の治療薬は種類も増えており治療効果が期待できます。

 喫煙も、くも膜下出血の大きなリスク要因です。たばこを吸うとニコチンで交感神経系が刺激され、血圧が上昇します。また、たばこに含まれる酸化物質によって血管が収縮し、動脈硬化が促進されます。

 たばこには依存性があるため、なかなかやめられない人もいます。最近は禁煙外来のある病院もあるので一度、受診してみるとよいでしょう。

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