クリエイティブな活動では圧倒的な才能を誇る (c)朝日新聞社
クリエイティブな活動では圧倒的な才能を誇る (c)朝日新聞社

 とんねるずの木梨憲武がインスタグラムに公開している「職業なりきり写真」が話題になっている。木梨が美容師、ガソリンスタンドの店員、ジムトレーナーなどさまざまな職業の人間に扮して、働いているときの様子を写真に収めているのだ。中には、銀座のホステス、京都の芸姑さんなど、女装姿の場合もあり、すでに40種類以上の職業になりきっている。衣装やシチュエーションにも工夫が凝らされていて、いずれの写真も相当な手間をかけて作られているのが感じられる。木梨のアカウントのフォロワー数は60万人を超えている。

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 木梨がこの一連の企画を始めた発端は、5月26日にアップされた記事にさかのぼる。競馬で予想を外してしまった木梨は「しばらく旅に出ます。」と書いた。その後、さまざまな職業を転々とするという設定で、職業なりきり写真が連日公開されるようになった。わざわざ設定を決めてから企画を始めるというところに、いかにも木梨らしい遊び心が感じられる。

 一方、相方である石橋貴明も最近、インスタグラムを始めた。6月20日に公開された最初の記事では「友達作りのためにインスタはじめました。」と宣言。その後、みちょぱやおぎやはぎの小木博明とのツーショット写真を公開している。石橋は、7月2日にAbemaTVで放送される『石橋貴明プレミアム 急募!石橋貴明と友達になりませんか?生放送SP』という番組に出演することが決まっており、このアカウントを開設したのも企画の一環である。アカウントをフォローした人の中から抽選で、石橋からビデオチャットがかかってくるという特典があるという。レジェンド芸人であるとんねるずの2人が揃って本格的にインスタグラムを始めたことで、多くのファンが歓喜している。

 テレビの世界で長年スターとして君臨してきたとんねるずが、若者に人気のインスタグラムを始めるというのは、一見すると意外な感じがするかもしれない。だが、既存の枠を飛び出して新しい世界に踏み出していくというのは、彼らにとって決して珍しいことではない。むしろ、歴史をさかのぼってみれば、とんねるずは枠からはみ出し続けることでキャリアを築いてきた芸人であるということが分かる。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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