他競技ではバレーボールVリーグが、秋春リーグのため直接的な影響はないものの、日本代表チームの強化合宿計画に協力し、2018-19シーズンの日程の前倒しを決めた。男子1部のV1は昨季より1カ月半早い2月末、女子1部のV1は2カ月半早い1月末にシーズン終了としている。

 他に直接関係のない全国高校野球選手権も、東京五輪閉幕後に日程を遅らせることを検討している。また、8月10日から24日の日程で、群馬、茨城、栃木、埼玉の北関東4県にて実施予定であった全国高校総合体育大会(インターハイ)は集中開催を断念。異例の全国21府県での分散開催を決めた。これは東京オリパラの影響で、選手関係者3万6千人の宿泊施設を関東圏で確保できないためと説明している。加えて分散開催で経費がかさみ、特別基金7億円を募っているものの開催自体が危ぶまれている。

 まだ明らかにはなっていないものの、五輪の「余波」を受ける他のスポーツもあるだろう。さらに一般の都民も、来夏はスポーツをする予定を変えなくてはいけないかもしれない。少なくとも東京都内の各野球場は、野球・ソフトボール競技の練習場となる可能性が高く(都内では競技が行われないにもかかわらず)、草野球がプレーしづらくなるのではとささやかれている。

 会場等で使用されるため日程を変更することは致し方ない面もあり、市民プレーヤー、特にジュニアの競技者にとっても、日頃見ることができないワールドクラスのプレーを目の当たりにすることは、競技力向上といった点で有意義なことではある。ただ、来年の夏は世界中からやって来るスポーツ愛好家に、日本のスポーツ、五輪の正式競技から一度は外されてしまった野球の盛り上がりや、急速に発展してきたJリーグをアピールするチャンスでもないだろうか。

 また、スポーツをより身近なものにするため、特別な五輪でスポーツに持った人々の興味を四散させないためにも、日常のスポーツを続けることが必要ではないだろうか。まだ来夏の日程が正式に決まったスポーツは多くはない。今後の競技団体の動きに注目したい。(文・小崎仁久)