五輪の資材置き場として使用される明治神宮野球場 (c)朝日新聞社
五輪の資材置き場として使用される明治神宮野球場 (c)朝日新聞社

 東京オリンピックは7月24日から8月9日、東京パラリンピックは8月25日から9月6日の日程で来年の夏に行われる。日本での夏季五輪として56年ぶりだが、前回の1964年東京五輪は、敗戦後の経済成長の過程で行われた大会であり、スポーツは人々の生活の中にそれほど浸透していなかった。都市としても国としても成熟した中での来年の大会は、その後市民に広がり日常的なものになってきた日本のスポーツの転換点であり、良くも悪くも大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。

 そのひとつは「日常」のスポーツへの影響である。夏のリーグスポーツである野球、サッカーは、東京オリパラのために日程変更を余儀なくされている。

 すでに日本プロ野球機構(NPB)は、五輪ソフトボール競技が始まる7月22日から、閉会式後の8月14日まで、セントラル、パシフィック両リーグの23日間の中断を決めている(野球とソフトボールは五輪では同一競技)。それに伴いシーズン開幕も約1週間早まる予定である。

 NPBの横浜DeNAベイスターズは、本拠地である横浜スタジアムが野球・ソフトボールの会場となっている。そのため6月から8月まで球場を使用できず、主催試合を東京ドームで行う案があがっている。同様に東京ヤクルトスワローズも、東京ドームでのホームゲームを検討。これは明治神宮野球場が、五輪の資材置き場、VIPの待機場所となるためで、7月上旬から2カ月以上、本拠地で試合ができない。

 利用できない神宮球場の影響は大きく、全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)の東・西東京大会も試合を行えず、玉突きのように、毎年7月に東京ドームで開かれていた社会人の都市対抗野球も11月に日程をずらすことになった。

 サッカーJリーグは、J1からJ3まですべてのリーグを3週間程度、中断する方向で進んでいる。FC東京をはじめ浦和、鹿島など6チームのホームスタジアムがオリンピック会場となっていることに加え、日本サッカー界をあげて五輪をサポートする意向があるという。

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他競技では…