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「闇営業」=「おもしろワード」のはず…暴露ネタの封印を危惧する

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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事務所との契約を解除されたカラテカの入江慎也 (c)朝日新聞社

事務所との契約を解除されたカラテカの入江慎也 (c)朝日新聞社

 闇営業という言葉の響きで何となくいかがわしい感じがしてしまうのだが、暴力団関係者を相手にするものだけが闇営業ではない。単に「事務所を通していない仕事全般」をそう呼んでいるだけだ。

 例えば、芸人が親しい友人に頼まれて結婚式で余興を披露するのを引き受けたとする。その際、謝礼として個人的にいくらかのお金を受け取ったとする。芸人がこの事実を事務所に報告していなければ、これも定義上は闇営業ということになる。大抵の場合、ギャラが少額で個人的な付き合いの範囲内であり、本業に支障が出ない程度のことであれば、事務所側もそこまで厳しく目くじらを立てることはないのが普通だ。

 実際、ここ最近だけでも、バラエティ番組で芸人が闇営業を話題にしていたことは何度かあった。「水曜日のダウンタウン」では、先輩芸人に詰められたときに言わなくてもいいことまで言ってしまうかどうか検証する企画で、コロコロチキチキペッパーズのナダルが闇営業をしていることを自ら告白していた。さらば青春の光の東ブクロも同じ企画で闇営業をしていたことを明かされていた。

 さらば青春の光は自分たちで立ち上げた個人事務所に所属している。「個人事務所なのに闇営業をしている」という異例の事態に、相方の森田が半ばあきれながらツッコミをいれているところが面白かった。

 最近のバラエティ番組では、芸人同士が身内しか知らないことを暴露するような企画が多い。芸人であれば、多少際どい暴露話をしても問題ないとされているからだ。

 ただ、そういう場合でも、派手な女遊びや既婚者の不倫などのエピソードは昨今は話しづらくなっている。そんな中で、闇営業の話というのは、あくまでも事務所との契約違反にすぎないため、事務所さえOKすれば気軽にネタにしやすいという側面がある。犯罪ではないし、具体的な被害者がいるようなことではないからだ。

 芸能人が暴力団関係者と交際することはもちろん許されないし、闇営業自体も決して褒められた行為ではない。ただ、人を笑わせることを職務とする芸人には、闇営業のような際どい話題をあえて笑いにする自由はあると思う。見る側が闇営業という言葉を過剰にタブー視することさえなければ、これ自体は面白いネタの1つとしてまだまだ消費できるし、ぜひそうあってほしいものだ。(ラリー遠田)


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ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)など著書多数。近著は『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)。http://owa-writer.com/

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