周りの選手がうまければうまいほど輝きを増し、周りの輝きも増すことができる選手であることはこのA代表デビュー戦でも分かる。しかし、久保は「気持ちよくプレーさせてくれる意図も感じたので、そうやって助けてもらえるのはすごくいいことだと思いますけど、これからは試合に向けてやっているので、そういうことに甘えず、自分の力だけで良いプレーを出せるように頑張るだけかなと思います」と気を引き締める。

 遠路はるばるやってきて時差調整もできていないエルサルバドルの強度は高かったとは言い難い。

 仮に同じ相手だとしてもエルサルバドルが数日前に試合を行ったアメリカ合衆国に日本が乗り込んでいたらはるかにタフな試合になっていたはずだ。その意味でコパ・アメリカははるかに強い相手と相手のホーム同然の厳しい環境で真剣勝負を行う。そこで久保がどういうプレーができるのか。

「これからコパに行く選手がいるなかで、その選手たちも含めてずっとやっているので、自分の特徴は伝えているつもりですし、逆にこれからくる選手もずっと一緒にやってきているので、そういう意味では自分とか中山選手、冨安選手だったり、両方経験している選手の役目も大事になってくるのかなと思います。強い相手の方がいいので。そこで活躍できれば自信になるのかなと思います」

 コパ・アメリカに向けてはそう語った久保。大迫とのプレーは早くとも9月までお預けになるが、まずはコパ・アメリカで勝利に直結するゴールやアシストといった結果を残し、森保監督の信頼をさらに勝ち取ることで次につなげて行くことが当面の目標になってくるだろう。18歳。しかし、A代表での挑戦はすでにスタートした。代表記者の一人としても年齢に関係なくA代表の選手として評価して行きたい。(文・河治良幸)

●プロフィール
河治良幸
サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを担当。著書は『サッカー番狂わせ完全読本 ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)、『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)など。Jリーグから欧州リーグ、代表戦まで、プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHKスペシャル『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の"天才能"」に監修として参加。8月21日に『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)を刊行