後半29分には大迫とほぼ2トップのポジションを取ったところから手前に引くことでエルサルバドルのアンカーを引きつけて、ボランチの小林祐希が前で橋本拳人からのクサビを受けるプレーをお膳立てすると、小林がボールを受ける瞬間にポジションを手前に引いて、パスを受けて左足のワンタッチで、右サイドを上がる室屋に通した。そこから室屋が上げたクロスに大迫が飛び込んで合わせたが、わずかにヘディングがズレた。

 後半31分には大迫が相手の左センターバックに守備でプレッシャーをかけて、そこに久保が連動して受けてのミスしたボールを奪う。左から中に流れてきた中島にボールを付けると、堂安が右から斜めに動く。中島は後ろからフォローしてきた小林にショートパスを出すが、その間に久保は相手のセンターバックを引き付けた堂安と右ワイドの大迫の間にあるスペースに顔を出す。すると小林は久保の頭上を越すボールを右外の大迫に通した。

 GKヘンリー・エルナンデスのビッグセーブと彼の背後をカバーしたカルロス・ポルティージョのスーパークリアに阻まれたが、後半3点目に最も近づいたシーンだった。大迫が作ったスペースをうまく活用して相乗効果を出す。そうした循環を生み出せる理由は状況観察と判断の早さ、そして味方のイメージを読み取ろうとする意識だ。

 そして味方がスペースを活用するだけでなく、自分のプレーで周囲にスペースを作り出すことができるので、久保のためにスペースを作った選手がさらに久保が作ったスペースを活用するという連動が生まれやすい。そのため大迫もスペースを作って終わらず、本来のフィニッシャーとしての仕事にも入って行きやすい。

 これまでの取材を通しても久保の回答で特徴的なのは「◯◯はこういう動きをイメージしていると思ったので」という理由付けがある。相手のディフェンスに対しても、こうしてきたからこうするという理由付けをピッチ上で思い描きながらプレーできているからピッチ上から消えることが少なく、かといって“悪目立ち”することがない。

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森保監督の信頼を勝ち取るのが当面の目標