想像するに、ファーウェイを狙った施策は、長期的には、ファーウェイの経営にあらゆる状況に対応できるような柔軟性、タフさを育み、そして、技術においてはOSからチップ、最終製品に至るまで、ファーウェイ・オリジナルの高度なものを創る能力を与えることになるのではないか。

 乱暴に言えば『巨人の星』の星一徹の役割を、アメリカのトランプ氏は果たしている。ほんとうはファーウェイのことが大好きなんじゃないだろうか(笑)。 

 蹴落とされ、水をかけられ、大リーグ養成ギブスをはめられたファーウェイ。数年後に後悔するのは、目立ちたがり屋の、赤いネクタイが大好きなあの方ではないだろうか。

 中国には、高度成長期の日本のように、国民の間に一致したビジョン、未来像が明確にある。山東(サントン)省であれば小学生でも「一帯一路」のことを語れるに違いない。このパワーを見くびらないほうが良い。

 いまのアメリカ企業のいくつかには素晴らしいビジョンがある。しかし、アメリカという国そのものには不思議とビジョンを感じないのはなぜだろう。トランプ氏は「自国第一」以外の未来像を語れるのだろうか。「ディール」以外に自国を未来へと運べる方法論を語れるのだろうか。

 中国という国、政治体制の好き嫌いはまったく別にして、この戦争らしきものの勝敗の帰趨(きすう)は明らかである。あくまでも素人の邪推にすぎないという言い訳付きだが。