カメラの内蔵ストロボだけでもいいが、光のコントロールのしやすさではクリップオンのほうが上だ。

 また、現在ではカメラのホットシューに装着する標準的な使い方よりもカメラと離して被写体を照らすオフカメラライティングが人気。ストロボの設置場所や角度で、より自然な光にもドラマチックな光にも演出がしやすいことや、複数台のストロボを利用する多灯ライティングが行えるからだ。

 カメラメーカーの純正ストロボ以外にもサードパーティー製ストロボを含めれば選択肢は広い。各メーカーのTTLに対応したものも多い。ストロボヘッドに装着し光の質を変更するリフレクター類など、表現意図や好みに応じてアイテムを選ぶことで、ミニマムなセットでもスタジオ撮影のような多彩なライティングが可能になる。複数台のシステムでも比較的に小さくまとまることや、電池による電源供給のため携行しやすく場所を選ばずどこでも使えるため、ロケで使用しやすいのも強みだ。

■光を作る自由度が大きい、大型ストロボの魅力

 一方で、いつかは大型ストロボを使ってみたいという憧れもあるだろう。主にスタジオなど屋内で使用する発光量の大きなストロボの総称だ。基本的には電源部(ジェネレーター)と発光部(ヘッド)が別々になっており、発光量を自分で調整するマニュアル露出・調光での撮影が一般的だ。

 使用電力量が大きいためACによる電源供給で使用する。大光量での発光が可能なため、大きな傘にバウンスさせたり、面積の広いディフューザーで拡散した柔らかな光質を得たりする光量ロスが避けられないライティングでも余裕の威力を発揮する。つまり光を作る自由度が高い。コマーシャルやファッションポートレート撮影などの分野では欠かせない照明である。

 発光部と電源部が一体型のモノブロックタイプや屋外使用可能な大型バッテリー仕様のタイプも存在する。また一部の大型ストロボ機種にはカメラのTTLオート調光に対応する機種も出てきており、日中シンクロ撮影がオートで行える大型ストロボもある。全般に高価なシステムではあるが機能的には身近な存在になりつつある。

 クリップオンも大型ストロボも、一瞬の閃光で被写体を照らすという意味では同じ種類の光であり、モデリングランプなどを使い簡易的にシミュレーションをしながらライティングを作り込んでいく作業が必要となる。

 この閃光での撮影に対し、古くから写真撮影用電球を用いた照明器具で、実際のライティングを確認しながら撮影する方法もとられてきた。しかし電気消費が大きく高熱を発生し、色温度の補正が必要になるなど使いにくい面も多かった。しかし、これら定常光の撮影用照明器具も進化し、現在ではLEDを利用した製品も増えてきた。省電力で高熱になりにくいのと高演色タイプであれば色の補正なしに、太陽光とミックスして使ったり、レフ板のように補助的な光としても利用したりできる。何より見たままのとおりに写せるのが最大の利点だ。(解説/宇佐見 健)

アサヒカメラ2019年6月号より抜粋