一方で、手ブレの原因はシャッター速度が遅いからとも言い換えられる。シャッター速度が遅くなるのは、被写体が暗いから。被写体を明るくすれば、手ブレが防げる。特にストロボを使えば、一瞬の光なので、暗いところでも被写体を止められるし、手ブレも防げる。ただ、背景まで光を当てることは複数のストロボを使わないと難しく、写した結果は、自然光での撮影とは異なるものになる。ただし、ブレるくらいならストロボを使うという割り切りも必要だ。

■一脚や三脚などで、固定して撮影する

 手で支えつつ、ほかにカメラを支えるポイントを作ってもブレを低減できる。一脚を使えば、カメラの重さを支えるとともに、上下ブレを防ぐことができる。ただ、一脚は足場が必要なため、人混みの中などでは、ミニ三脚を胸に当てて使うという手法もある。状況によるが、体や腕を建物などに押し付けて固定してもいい。

 手で持つから手ブレする。であれば、三脚に据えて手で持たなければいい。よく「しっかりした三脚」をといわれるが、三脚はパイプの太さでその格が決まるものだ。一眼レフ+70~200ミリF2.8クラスであれば、パイプ径28ミリクラスのもので十分対応できる。より重い機材であれば、より太いパイプ径の三脚を使いたい。また、単に三脚を使えばいいというわけでもなく、必要に応じて重心を下げる工夫をしたり、リモートコードを使ったりするなどシャッターボタンなどカメラに触れないことが、ブレの防止につながる。また、三脚を使っても、ブレが止まらない原因に、固定箇所の締め忘れがある。特に雲台の左右方向(パン)やエレベーターを一番下に下げた状態で、エレベーターのストッパーを締め忘れるといったミスは、カメラが一見動かないようだが、がたつく原因となるので注意したい。

 ただし、固定が不調な三脚の締めすぎには注意。パイプ間の固定は中の部品の摩擦力によるもの。この部品の摩耗で固定できなくなる。ナット式では、この状態で無理に締めると、ネジ山を破損することにつながる。この場合は、すぐに修理に出すのが長く三脚を使うためのポイントだ。(解説/木村楓也)

アサヒカメラ2019年6月号より抜粋