ドラフト上位指名の可能性が高い明治大・森下暢仁は楽天・岸タイプ (c)朝日新聞社
ドラフト上位指名の可能性が高い明治大・森下暢仁は楽天・岸タイプ (c)朝日新聞社

 6月10日に開幕する全日本大学野球選手権。全国各地のリーグを勝ち抜いた27校によって大学野球春の日本一が争われる大会だが、もちろん多くのドラフト候補も出場する。そこで今回は今大会に出場する注目選手について、イメージしやすいようにプロで似たタイプの選手に例えながら紹介する。

 まずは投手だが、現時点で上位指名の可能性が高いのが森下暢仁(明治大)、杉山晃基(創価大)、津森宥紀(東北福祉大)の3人だ。

 森下は大分商時代から注目度の高い右腕。高校3年時には甲子園出場を逃しながらも(1年時には控えとして夏の甲子園に出場するも試合出場はなし)、U18の侍ジャパンに選出されている。大学では1年春に右肘を骨折して出遅れたこともあり、主戦となったのは昨年からだが、この春はリーグトップの4勝をマークして初のベストナインを受賞するなど、ようやく高い潜在能力に見合った結果を残してみせた。

 少し細身だが肩の可動域が広く、全身を使ったしなやかな腕の振りが特長。フォームのイメージは岸孝之(楽天)に近いものがある。この春は力強さも着実にアップし、スピードもコンスタントに150キロ台をマークするようになった。最近では投げる投手が少ない大きなカーブを操り、緩急を使えるのも持ち味だ。

 杉山はたくましい体格から投げ込む150キロを超えるストレートが武器のパワーピッチャー。森下が「柔」なら杉山は「剛」という趣がある。昨年の大学選手権では初戦で敗れたものの最速153キロをマークして注目を集めた。この春は途中までリリーフでの起用が多かったが、終盤は先発に復帰して安定したピッチングを見せている。スピードに注目が集まるが、140キロ近い速さで鋭く落ちるフォークも一級品だ。粗削りだがスケール溢れるピッチングは今年売り出し中の高橋光成(西武)に重なる。

 津森も力で押すピッチングが持ち味の本格派サイドスロー。主にリリーフを任せられることが多く、昨年の大学選手権では1試合に先発、3試合にリリーフとフル回転の活躍を見せて優勝に大きく貢献した。細かいコントロールはないものの、躍動感あふれるフォームから投げ込むストレートは打者の手元でも勢いが衰えない。2年時から大学日本代表の常連で、国際大会での経験も豊富だ。かつてヤクルトで抑えを務めた林昌勇のようにリリーフ投手として大成する可能性は十分にあるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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