プロ1年目の壁に向き合う中日・根尾昂 (c)朝日新聞社
プロ1年目の壁に向き合う中日・根尾昂 (c)朝日新聞社

 昨年のドラフト会議、話題をさらったのは高校生野手だった。小園海斗(報徳学園→広島)と根尾昂(大阪桐蔭→中日)に4球団、藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)に3球団が競合し、外れでも太田椋(天理→オリックス)が指名され、合計で4人もの高校生野手がドラフト1位でプロ入りしたのだ。

 また2位でも増田陸(明秀日立→巨人)、野村佑希(花咲徳栄→日本ハム)、小幡竜平(延岡学園→阪神)の3人が指名されており、即戦力の投手が高く評価されやすい中でこの数は異例のことである。シーズンも開幕して約2カ月が経過したが、高校生野手のこれまでの成績を振り返りながら、今後誰がいち早くブレイクするかを占ってみたいと思う。

 まず開幕時点で一歩リードしていたのは藤原だ。高卒ルーキーとしてはチーム54年ぶりとなる開幕スタメンを勝ち取り、第4打席ではプロ初ヒットも放ってみせたのだ。しかしその後はバットから快音が消え、4月7日には登録抹消。二軍でも打率は2割台前半にとどまっており、今のところ一軍昇格という声は聞こえてこない。守備範囲の広さと肩の強さは一軍でも遜色ないレベルだが、やはり打撃の確実性はまだまだという印象だ。一軍では6試合19打席で6三振、二軍でも31試合135打席で36三振を喫している。フルスイングが魅力の選手だが、もう少しコンタクト能力を上げていくことが最優先の課題となるだろう。

 藤原以上に苦しんでいるのが小園と根尾だ。小園もオープン戦では2本塁打を放ち開幕一軍入りを果たしたが、試合出場はないまま登録抹消。二軍でも主に1番・ショートを任されているものの、ここまで2割を大きく下回る打率となっている。

 根尾もここまで打率は1割台前半で、約3打席に1回の三振を記録。失策も早くも二桁となり、攻守ともに完全にプロの壁にぶつかっている状況だ。二人とも藤原以上にプロのボールをとらえるのに苦労していると言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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