ホンダはかつてのような栄光の日々を取り戻すことができるか (c)朝日新聞社
ホンダはかつてのような栄光の日々を取り戻すことができるか (c)朝日新聞社

 5月26日に行われたモナコ・グランプリ(GP)で、ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブルが、5連覇中の王者メルセデスと熾烈な優勝争いを演じた。決勝レースの78周のうち、じつに66周に渡ってメルセデスとデッドヒートを繰り広げた。残念ながら優勝はならなかったが、0.5秒差でチェッカーフラッグを受けた走り(ピットアウトの際に受けたペナルティによってレース結果は4位)に、2006年以来となるホンダの優勝を期待する声は高まっている。

 2015年にF1に復帰して以降、昨年までの4シーズンで優勝はおろか1度も表彰台を獲得することができなかったホンダが、今年に入ってすでに2度表彰台に上がり、モナコGPではついに優勝争いを繰り広げるまでに躍進するようになったのはなぜか。理由は2つ挙げられる。ひとつはホンダがチームに供給しているパワーユニットの性能向上だ。

 F1では2014年から、それまでのエンジンに代わって、V6ターボエンジンに2つのエネルギー回生システムを組み合わせた複雑なパワーユニットが搭載されている。このシステムは市販車にもいまだ搭載されていない非常に複雑かつ高度な技術が採用されているため、2008年限りで一度F1から撤退していたホンダにとっては、ライバルメーカーよりも開発期間が短く、復帰当初は苦戦を強いられていた。

 それが復帰4シーズン目の昨年、ようやく実力で入賞争いできるまでに復調。今年はさらに前進して、その差を縮めている。

 2019年に優勝争いを繰り広げるようになった2つ目の理由は、その進化したパワーユニットを供給しているチームが変わったことだ。

 復帰後、ホンダがパートナーを組んだのはマクラーレンだった。3年間での最高位は5位。その大きな要因はホンダのパワーユニットの性能不足だったが、マクラーレンの車体にも優勝を狙えるだけの性能が備わっていなかったことは、ホンダと決別して以降も表彰台をいまだ獲得していないことが如実に証明している。

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メルセデスの牙城を切り崩すには…