選手とのコミニュケーションに気を配る。その方法の1つとして、上から目線にならないことを大事にする。

ーー監督室へ行く時はシナリオを作り上げる。

「僕は監督室へ直接、話に行きました。自分の役割もその都度異なるので、それを知りたい。また出場機会がなければ、えっ、て思いますから」

 日本球界では考えられないことだが、田口も監督との対話機会を求めた。

「しっかり考えて行った。そんなに英語は話せなかったのでね。ああ言われたら、こう言って伝えようとね。 まあ一種のシナリオみたいですけど」

 米国時代のクラブハウス、周囲に一人背を向け、壁を見て考え込んでいる姿がたびたびあった。

「しっかりと向き合ってくれた。時間もとってくれたし、わかりやすい単語も選んでくれていた。特に使ってもらえない理由はわかりやすく説明してくれた。もちろん心底は納得してない。でも向き合ってくれたということは伝わるので、今は自分にできることをやろう、という気持ちにはなれた」

ーーコミニュケーションは技術の1つ。

「二軍監督時代、いつも監督室の部屋のドアは開けておいた。でも来る選手はあまりいなかった」

 自身が米マイナーでやっていたように、選手自ら話に来てくれることを望んだ。

「生まれ育ってきた環境、状況もある。選手自身が考えていないということではなくて、直接、会話してコミュニケーションをとることが苦手になっている」

 田口の理想は選手とひざを向き合って話し合い、お互いに納得した上で前進すること。

「どんな話だって聞く準備はしている。選手の方からやって来るというのは、それぞれがしっかり考えているからできる。技術的、戦術的、起用法など、考えることで前進できるし上達にもつながると思う」

「時には感情的になることもある。そんな時でもしっかり話し合うことで、考えを伝えあう。すべてが納得できるわけではないかもしれないけど、話し合ったという事実はできる。感情のしこりも残りにくいと思う」

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